2000年01月24日号

 勝手にタケちゃん通信 勝手にたけちゃん通信

「カリブの海は、深い青だった」

メキシコ南東部のコスメル島。
カリブ海でのんびりダイビングを楽しんできたのである。
アメリカではわりと知られたダイビングの場所らしい。
日本ではあまり馴染みのない地名だけに、日本人は全然いない。
メキシコ12月中旬の季節は、場所によって気候が様々。
コスメルは昼30度近くあって、夜は涼しいかんじである。
とてもゆったりとできて、狙い目のシーズンかもしれない。
ちょっと欲張って休みを取ったのは大正解。
楽しい日々だった。

ダイビング初日、2m級のバラクーダやギンガメアジの群れなど、
たくさんの魚を見て大喜びだった。

2日目は、移動中のボート横に、野生のイルカを見ることが
できた。颯爽と泳ぐ、野生のイルカを見るなんて初めてで、
なんとも言えないうれしさがこみ上げてきた。
おお、カリブーー!


昼からは、イルカと遊ぶプログラムに参加した。
題して「ドルフィン・ディスカバリー」。
海に作られたイルカ用の囲い(テニスコート3つくらい)の中で
一緒に遊ぶのである。
通常はグループで参加するのだが、値段が高く($140!!!
いやあ、よくぞ決意したもんだ)、夕方ということもあって、
参加者は、僕と美保さん二人だけ。
ワクワクしながら、水着に救命胴衣、シュノーケルセットとフィン
を持ち、海へと向かった。

いつのまにか、見物人が、20人、30人と集まってきた。
ちょっと恥ずかしく思いながら、海に入る。

最初にイルカにチューされた!
イルカの頭から横腹にタッチした。
スーッと、二匹のイルカが流れていく。
ヌメッとしてるかなと思っていたけど、なかなかツルツル、
スベスベである。

横ではビデオや写真を撮っていて、ちょっと緊張する。
2匹のイルカに足を押してもらい、海を疾走することになった。
囲いの海の真ん中まで泳いでいき、うつ伏せになる。
救命胴衣をつけているので、楽ちんに海に浮く。
二匹のイルカが、スーッと後ろから、口で僕の足の裏を押し、
スピードを上げ、僕の身体はどんどん進む。
両手を上げると上半身が一気に浮く。
バンザイ状態だ。
うーーーん、すごいすごい。

次に、二匹の背びれを両手でつかみ、高速で泳ぐ。
えっ、背びれなんてつかんで、平気なのかな..。
うーーん、サーカスみたいだ。

フリータイムになると、一緒に泳ぐことができる。
救命胴衣をつけているので、少し泳ぎづらい。
イルカは僕たちに近づいて来る。
僕が回るとイルカも回る。

そして指導員の所に行って魚をもらい、また戻ってくる。
うーん、あれっ。なんか、ちがう...。

手に持ったポールの上をイルカが飛ぶ。
うん、なんだか悲しくなってきた。

たしかにおもしろいのだけれど、
いや、僕がしたかったのは、こんなことじゃなくて、
こんなことじゃなくて...、
イルカが自由に泳いでいるのを横で間近に見たかっただけで、
欲を言えば、
ほんのちょっとタッチしてみたかっただけで、
僕がしたかったのは、
サーカスのようなことではなくて、
ただ、....。


ダイビングで知り合った、カリフォルニアから来たアメリカ人の
おばちゃんは、このプログラムを話すと、とても興味を持ったが、
料金を聞くと驚いていた。
(アメリカ人によくある「信じらんなーい!!」リアクション付き)

実際、僕だって高いと思う。
でも値段が問題ではない。
僕がしたかったことは、いったい何だったのだろう。
このプログラムに参加したからこそ、気がついたことが、
たくさんあるように思う。


次の日、ダイビングボートの上から、また野生のイルカを
見ることができた。
のんびり雄壮に泳ぐ姿を見て、これでいいのだと思った。
簡単に人間の範疇で手が届くものでなくていい。
彼らには彼らの生きる姿があるのだ。
このカリブ海の深い青の海で、彼らは住むべきのだ。

滞在中、マンタがボートの下を通過した。
うーーん、すごい!
やはり海は、この人達の住む場所なのだと、改めて思ったのだった。


カリビアンブルーと呼ばれるカリブの海は、深い独特の青である。
その青さは人にも優しいけれど、とても人の及ぶところではなく、
カリブで生活する生物全てにやさしい、深い青でいてほしいと、
思うのである。


追伸
コスメルから葉書が1ヶ月以上かかって届いたように、
このメールもきっと、1ヶ月以上遅れたのでしょう....。

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