2005年07月07日号

勝手にタケちゃん通信 勝手にたけちゃん通信

「待つこと」編


今日は七夕。
新しくWILLINGに来始めた中学生の子が誕生日なので、
お祝いのケーキを買いに出かけた。
近所で評判のケーキ屋さんが2軒あり、今日の気分で、
ちょっとオシャレなRテールへ。

店内に入るとすでに3人がショーケースの前に並んでいる。
20分で戻らなければいけないので、ショーケースを眺めな
がら買うケーキを吟味しておく。後ろには赤ちゃんを抱いた
女性がやってきた。さらに子供連れの女性が並んできて、
なかなか人気の店だ。

前の男の人が注文を終え、店員が声をかける。
「お次のお決まりの方どうぞ〜」
自分の注文を告げようとするそのとき、後ろの赤ちゃんを
抱いた女性が僕を押しのけ、注文を言い始めた。
呆然とこちらが立ちつくす中、目線が合っても平然と注文を
続けている。

カチンと来た。
と同時に、文句を言おうかと躊躇している自分もいた。
大人げない、たかがケーキ注文の順番を守れないぐらいで
相手に注意するなんて...。
しかしまた、抱かれた赤ちゃんが可哀想にも思えてくる。
このようなルールも守れない母親に育てられるなんて...。
憤りと自制心が同時に交差する。


ケーキを買うのをやめ、無言で店を立ち去った。

文句を言いたい自分、言わないでいたい自分双方に押し出
されて、その場所にいたくなかったのだ。
時間に追われているようで自分にも余裕がない。気持ちにも
余裕がない。そんな余裕のない自分自身にも嫌気がさして
しまったのだ。


10年前、家庭教師をしている子たちを連れて渋谷で買い物を
していたときのことだ。露店のベビーカステラを買うために並ん
でいると、横から数人の若者が子供たちを押しのけて注文しよ
うとした。
許せなかった。
「子供たちが並んでるんだから、割り込みしないで後ろに並ん
でください」

簡単に言葉にできた。
あのときは簡単に言葉にできた。

今日はなぜ簡単に言葉にできなかったのだろう。

赤ちゃんを抱いた女性の目線に、言っても無駄だろうと思った
失望感からだろうか。
赤ちゃんを抱く女性自身が優先権があるような態度を取ること
への虚しさからだろうか。
たかがケーキの順番で大人げない自分をさらけ出したくなかっ
たからだろうか。
順番を譲っても良かったのに、自分に時間がないためにでき
なかった後悔からだろうか。

全てYESだが、一番の核心は、待つこと、ただ単純に待って
あげることができない自分自身がイヤだったのだ。順番を譲り、
次までの数分を待つことができない自分がイヤだったのだ。

「待つこと」、単純なようでいつもなかなかできない。
WILLINGではいつも子供たちの成長をゆっくり待っているつも
りなのに、自分のことには待てない。
深呼吸して、ちょっとリフレッシュが必要なんだろうなあ。

今日は七夕。
待ち続けた牽牛星と織女星が出会う日。
「待つこと」を続けてきた夜空を見上げてみようかな。
(^-^)

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