2005年12月30日号

勝手にタケちゃん通信 勝手にたけちゃん通信

「一緒に生きていきましょう」編


「北海道は倒産ですよ」
網走でバスの運転手さんがつぶやいた。
12月中旬に知床を訪れたとき、景気の話で漏らした言葉
だった。東京では景気が回復傾向だとか、忘年会で「プチ
バブル」のような言葉も聞かれる。
しかし地方都市では不景気の余波がまだまだ押し寄せ、
生活が苦しくなっている人たちが多いという。

誰かが悪者だと決めつけてしまえば簡単な話なのかも
しれない。日本国内のコンセンサスが得られない中、
「痛み」を強要した政治の首謀者には批判が集まる。
強者は切り抜けられても弱者は生き残れない。

国内での批判の目を逸らすには他国脅威論だ。どの国
にも同じような手法は存在し、敵対する国を作れば視線が
他国へ移る。
北の国はコワイ、赤い国はオソロシイ。ドウシテ内政批判
されなければイケナイノダ...。
しかし他国が嫌がることをこちらもしていたのでは、同じ
土俵に乗ってしまっている。脅威はお互い様だ。

仲良し軍事同盟での統一装備を図るために、アメリカの
軍需産業へばらまいた金額もかなりのものだ。仲間づくり
は大切だが、諸外国との派閥を堅固にし、国内の派閥を
排除しようと言っても説得力がない。
同盟国と偏った利権のために戦争へ加担することは、
歴史に大きな×をつける結果になってしまっている。

なぜ僕たちは、歴史を学ぶのだろうか。
理由は、ただ一つ。
愚かな過ちを繰り返さないために歴史を学ぶのだ。
世界の平和に自らが歩み寄れれば、多額の軍事費は
必要ない。戦争を繰り返した人類は、もう新しい時間を
作っても良いはずだ。

先月、急逝した元生徒Uのことを思い出していた。
生き急いでいたようなヤツだった。政治、宗教から漫画の
話まで、よく酒を飲みながら語った。
ずっと一緒に生きていたかった。
もっと語り合える月日があったならば、もっともっとお互いを
知る時間ができただろう。

年賀状を書きながら、人生の先輩にも同輩にも後輩にも
一つの言葉を添えた。

「一緒に生きていきましょう」

失礼になる方もいるかもしれないとも思ったが、やはり書か
ずにはいられなかった。
生きていると、本当にいろいろなことがある。
泣きたいときも笑いたいときも、
怒りたいときも喜びたいときも。
苦しいときだってある。
楽しいときだってある。
人生、いつも同じコトが続くわけではない。

一緒に生きる時間は、一つ一つの感情をまとめて生きて
ゆくことでもある。悪者を探して他者批判ばかりしていた
のでは、虚しさだけが心に残ってしまう。強者の理論だけで
考えていては、いつか自分しか見れない人間になってしまう。
誰かを敵対視したり、どこかの国を嫌ったりしていては、一
緒に過ごせる時間が不満だけになってしまう。
たとえ同じ空間にいなくとも、相手と分かり合いたい、お互
いの存在を認め合おうとすることは、一緒に生きてゆく
大切な時間でもある。


せっかくの巡り会えた時間だから。
「一緒に生きていきましょう。」
仲間として時間を過ごして、
悲しいときには、一緒にご飯を食べて語りましょう。
楽しいときには、一緒に飲んで笑いましょう。
そして一緒に生きていきましょう。

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