2006年08月30日号

勝手にタケちゃん通信 勝手にたけちゃん通信

「父母、金婚式を迎える」編

父洋三郎72歳、母美和子74歳。
結婚して50年を迎えた。
姉真弓と僕は、彼らの人生の半分以上と関わってきた
証人でもある。

人生波瀾万丈とよく言うけれど、彼らの生活はまさに
波瀾万丈のものであっただろう。大借金を抱えた生活、
ここでは語るに語れないこともたくさんある。
いやマジでありすぎる(笑)
コードに引っかからない程度にちょっと語ってみようか。


「母激怒、アイスピック投げつけ事件」
再会、アカシヤブランチとスナック喫茶を2軒経営して
いた父母。

店で、父が母を怒らせたときのことだ。
あまりにもカンカンになった母がアイスピックを投げつけると、
父の頬の横をかすって壁に突き刺さったという。
マジ、コワッ。
無事でなによりでございました。
母自体がビビったらしく、以来、母はモノを投げなくなったとか。
(笑)


「父の浮気発覚事件」
愛人さんと思しき人物から電話で呼び出された母。
どうやら父が最近、愛人さんにお金を渡していないから
出してくれという。

そこで母は真剣に答えたという。
「あんた、スゴイね〜。アタシなんか結婚してから
お金一円も家に入れてもらったことないのよ。どうやって
もらってたの?、アタシは感動する、ねえ、どうやって
もらってたの?、どうやったらもらえるの?」
愛人さんはサッサとその場を立ち去っていきましたとさ。
これまた無事でなによりでございました。


なんだか父がヒドイ人みたいだが、人情味があり、
我慢強い人でもある。

「お花見、ケガを隠し通す事件」
お花見に行ったときのことだ。
祖母が車から降りようとしたので父が扉を支えていた。
そのとき祖母は、扉を父が支えているのを知らず、オモイ
ッキリ扉を閉めてしまった。
父の指は骨が変形してしまうかという大出血のケガ。
しかしせっかく来たお花見。
祖母には絶対に悟られないようにして、父は最後まで
ケガを隠し通し、帰宅後に病院へ急いだ。
ちょっと父をリスペクトした日だった。


自分のエピソードとしては
「父母別居、友だちに知られ」事件だろう。
僕が小学校3年生から大学1年まで、11年間も
別居生活をしていた父母。
友達に知られるのがイヤで、ずっと隠していた。

中学のときに学校の先生から「ハセガワくん家は
お父さんとお母さん別居しているのよ」と友達に伝えられた。
泣きそうな思いだった。
なぜ先生が知っていたのか、なぜ言う必要があったのか、
ずいぶんとヒドイ話だが、世間とはそのように無情なもの
だとも知った。
しかし逆に自分の中では、ちょっと吹っ切れた瞬間でもある。


こんなことを今笑って語れるのも、父と母が現在、
仲良く元気に生活を送っているからでもある。
何よりも支えてくれた周囲のおかげでもある。
多くの借金を抱えて以来、単独で返せるはずもない。
祖父祖母、親戚、多くの方々に支えてもらった。
子供心には、借金を背負った父母を責め、その父母を
責める人たちに傷ついたものだった。しかし今なら、
周囲の人たちの温かさが身にしみて分かる。


この夏、金婚式を迎えて九州へ一緒に旅行した。
しみじみとした時間に、うちの家族っておもしろいな〜、
この父母の間に生まれて良かったなあと感謝した
夏の日々だった。

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