2011年01月27日号

勝手にタケちゃん通信 勝手にたけちゃん通信

「テニスバカボンな日々」編


大学生のとき、実家に戻る夏休み、遊びでテニスをやっていた。
高校時代の友達5〜6人、テニスを習ったこともないメンバーばかり。みんな自己流テキトー勝てばOK。笑
炎天下の中、飽きもせずよくやったもんだ。
もちろん、メシを賭けて試合してたから続いていたのだ。笑

テニスして、飲みに行って、そのまま麻雀に突入。
海に泳ぎに行って、戻って飲み会、そして麻雀。
こんな日々が続く。笑
カノジョとの約束ずらしても、テニスと麻雀はサボらなかった。笑
遊んでも遊んでも、疲れても疲れても延々と続いてた。


メンバーの中心はYとDと俺。
とくにYは優しいヤツだった。
敵の多い俺とは違って、誰にでも優しく、明るい本当にイイヤツ。怒った顔を一度も見たことがなかった。
誰からも好かれて、Yの悪口を言うヤツなんて見たこともなかった。

麻雀で、国士の「中」単騎でロンされたことがある。
悔しかった〜。
でも九蓮の「九萬」であがり返した、ふふふ。
テニスも上手で、よくラリーで打ち合っていた。
真夜中に大学のプールに忍び込んで泳いだりもした。
徹マン明けでも、二人になっても、麻雀したりもした。
楽しかった〜。


突如、Yが病気になった。
そして、ひっそりと、この世を去っていった。

Yが死んだことを告げるため、今までのメンバーに声をかけ、久々にテニスをした。
テニスが終わるまでは、みんなに黙っていた。
Yを明るく見送りたかったから。

涙を我慢して、明るくテニスをした。

テニス後にコートで、みんなにYが死んだことを伝えた。
みんなYのことが大好きだった。号泣だった。
もちろん俺も号泣だった。
途中からは言葉にならなかった。
Yを思いだしてしまうテニスをすることがつらくて、高校時代の友達たちからも、テニスからも遠ざかった。


それから15年の月日が流れた。
仲の良い中学生の生徒が、「テニスの王子様」の消しゴムを持っていた。テニス部だった。
心の中で懐かしさがいっぱいに拡がった。
Yのこと、炎天下のテニスコート、高校時代の仲間、みんなでの飲み会、海に行った日々、Yとの想い出が走馬燈のように駆けめぐった。


もう一度テニスをしてみようかな。
Yと打ち合ったあの時間に戻れるかな。
そんな気がして、テニス倶楽部を探した。


古いテニスラケットを引っ張り出してきて、テニスをした。
自分でも笑えるぐらい、ボールに追いつかなかった。笑
そりゃそうだ。
あの頃から比べたら体重が30kg!!以上も増えてんだもんな。笑
15年以上も、ロクに運動もしない生活を続けてたんだもんな。笑

Yもきっと天国で笑ってる気がした。
「タケシ〜、アホか〜、それじゃあイカンで〜」


もう大学時代みたいに、俊敏に走ったり、飛んだり、ボールに追いついたりなんてできない。笑
でもテニスを続けていると、なんだか気持ちが晴れやかになる。
やっぱり、テニスが楽しくて仕方ない。

テニスを再開してから何年も経つけれど、歳をとるだけで、上達とは無縁なテニス。笑
少し痩せては、また戻り(笑)、健康維持がいっぱいいっぱい。
けれど、ボールを追いかけてるだけで、あの頃の気持ちや、懐かしい想い出が、楽しさと共に蘇ってくる。


Yのことを思い出すたびに泣いた、つらかった日々。
どうして死んだんだと悔やんでは、もう戻らない時間と自分を責める日々。
そんな日々がだんだんと薄らいで、Yのことを晴れやかに受け容れることができるようになった今。

つらかった時間が、今はYと過ごせた楽しい、嬉しい時間に感謝する想い出として蘇ってくる。

アイツの分も、アイツを背負って生きてやると決めた自分。背負いこんでやる、二倍生きてやると思っていた自分が、今ではちょっと楽になって、アイツの分もテニスバカボンでいようなんて思ってたりする。
あの頃のように、テニスバカボンな日々を楽しもうと思ってる。


Y、俺は今、テニスをやってるよ。
あの頃から比べればボテボテだけど(笑)、
俺はテニスを楽しんでるよ。

 

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