1997年05月28日号 勝手にタケちゃん通信 勝手にたけちゃん通信
「子ギャル電車」編
そして、僕は二子玉行きの電車に乗っていた。昼過ぎなので、電車は、わりとすいている。
けだるい時間がすぎていく。
ふと、扉側を見ると、女子高生(ともさかりえ風)が、スカートの丈を気にしている。
扉にもたれながら、ひざあたりから、だんだんと、上の方に、スカートをあげていく。
スカート丈をあげて、固定するベルトを、何度も何度もやり直している。
5分ぐらいして、ようやく、ひざから30センチ以上も、上げてしまった。
周りの乗客は、みんな興味を持って、見ない振りして、ちらちら見ている。
その時、その女子高生は、がらんとした車内の中で、僕の隣に座った。
どしんと座ると、カバンの中から、ファンデーション取り出し、パタパタとし始めた。
ま、まさか、予感は的中し、ビューラーでまつ毛を必死になって、上向かせている。
はいはい、お次は、アイラインですよー。
そして、また、ビューラーを..。
扉が開き、新しい乗客が入ってくる。
ちょ、ちょっと待ってー、僕のつれじゃ、ないって!...。
みんな誤解している。
はあー。なんだか、この子をかばいたくなってきた。
ねえ、みんな、この子は、乗客20人ぐらいを敵に回してでも、バカに思われてでも、会いに行きたい人が、いるんだよ。
そのたった一人(と決めつけているが...)のために、必死になっているんだよ。
ケナゲじゃないの!
そして、池尻で、僕は降りた。
電車を降りて、走り去る電車をホームから見ていると、彼女は、まだ、顔をゆがめながら、ビューラーでまつ毛と戦っていた。
(たぶん...)愛とは、すばらしい!