1998年08月01日号

 勝手にタケちゃん通信 勝手にたけちゃん通信

「もののけ姫」考 編


今さらと思われるかもしれませんが、はい、今頃になって、
もののけ姫を見ました。
「ナウシカ」や「ラピュタ」などは見ていましたがこの
「もののけ姫」は、驚きと戸惑いと感動の連続でした。
アニメではあっても垣根を飛び越えた、僕にとっては、
この5年間の「ギルバートグレイプ」にならぶほどの
すばらしい作品でした。


一見、自然と動物と人間の共生がテーマのように、
話は進んでいきます。
しかし、そこに描かれる人間像を通して「生きる」ことが
テーマとして浮かび上がってきます。
自然であろうと、動物であろうと、人間であろうと
生きている。
「お互いを信じ合いながら、尊重しながら生きること」の
難しさを投げかけます。

自分以外のものを愛する気持ちを持ち続けたいと思います。
しかし現実は、ままならない。
常に一緒にいることだけが、共に生きることではなく、
離れていながらも、お互いを思いはかることのすばらしさを
感じます。


命の意味を問う映画であることに、涙が止まりませんでした。
今、数多くの人が自らの命を断って、この現実世界から
去っていきます。
他人事でなく、自分の周りにも起こってしまいます。
僕たちは、その出来事に涙し、思いを馳せます。
けれど僕たちは、生きていく。
でも、生きていく。
そのとき大切にしたいものを、自分の心の中にそっと
留め置くものを、見つけることができるかもしれません。


I'm OK.You're OK.
(今の私を見つめて、認める)
(今のあなたを見つめて、認める)

この気持ちを持ち続ける勇気。
この気持ちをいとおしむ優しさ。
ときに自分を見失っても、いつも「自分は一人ではない」
と思うことができる幸せを、見いだしてくれる。

まいりました、もののけ姫。
小学生の生徒が、意味がよく分からないとぼやいていたけれど、
きっと何年か後に、見直すことがあるだろうな。
そのとき、また新しい発見があるだろう。
僕も、2年後くらいに、もう一度見直したいな。


(*ここからは、解説を頼まれた友に宛てたメールです)

もののけ姫を見て、どうでしたか?
WILLINGでは、800字の作文を書いてもらっています。
小学生には、少し、難しいようです。
さて、率直に言って、もののけ姫。

1.「自然と動物と共に生きる」では、ない。

2.すべての世界に、善と悪は共存する。
  もちろん、あしたかの中にも、えぼしさまの中にも、
  ししがみさまの中にも。

3.それでも、自分を生きるのである。
  すこしでもお互いを尊敬し、すこしでも相手の生き方を
  見つめ、重んじ合うことで、自分を生きるのである。

4.だから最後に二人が「めでたしめでたし」で一緒に住む
  なんて結論があっては、話の核が壊れてしまうのだ。
  お互いを尊重し合いながら、自分を見つめ、生きるのである。

5.そして「自分自身を生きる」のである。

6.現代への強烈なメッセージなのである。
  簡単に人の命を奪ったり、自分の命を捨て去る現代への
  果てしないメッセージなのである。


  それにしても、恐るべし、宮崎ハヤオ。
  宮崎ハヤオは、漢字が難しい...。

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