998年11月18日号

 勝手にタケちゃん通信 勝手にたけちゃん通信

「獅子座流星群」編


あほらしー、なんで夜中の3時に起きて見ないかんのや。

そう思った人も、たくさんいたでしょう。
もちろん、僕もその一人でした。
「世田谷公園で流星を見るから、一緒に行こう」
生徒が誘ってきました。
生徒たちはずっと徹夜で見ようとしているらしい...。
いいよなあ、ヒマで...。
めんどくさいなーーっと思いながら、
「行けたらね」とうまく逃げたつもりでした。

夜9:30に生徒が帰り、ふと考えた。
そういえば小学校や中学校の頃って、眠らずに月食とか見たよなあ。
ダイビングでたくさんの海を見たいと思う気持ちと、
流れる星をたくさん見ることと、心の中で大きな違いがあるとしたら、
それは僕自身の問題なのかなあ。


北野大(ビートタケシの兄)が、語っていた言葉が頭をよぎった。

「大切なのは、原体験と本物を見る目。
 本やテレビで見て、その ものを見たような気になっても、
 本物を見る目と心は育たない」


「よし、生徒につき合おう」という気持ちよりも、
「失いかけている何かを、もう一度見つめる」ために世田谷公園に
出かけたのかもしれない。


仮眠する前は大張り切りだった美保さん、3時の目覚まし時計と共に
「私は、よすわ」...。
そんなこと僕が許すわけ、あーりません。
寝ようとする美保さんを引っ張って、カイロを何個も持って、
湯たんぽ代わりの愛犬二匹と一緒に歩いて出かけました。


夜中の3時。
びっくりしたことに、世田谷公園は昼のように人がたくさん!!
1時間に1000個とも噂された流星は、東京:世田谷公園では、
5分に1個ぐらいの感じでした。

東の空と聞いてたけれど、いやはや、どこから落ちてくるのか、
どちらの方角から流れてくるのか全くわからない。
しかも星が流れるのは、ほんとにほんの一瞬。
周囲の歓声が上がって見たんじゃ、じぇんじぇん間に合わない!

えっ、どこ、どこ?!、くやしーーっ!

テレビでだったら、おいしいとこだけ見られるだろうけど、
そんなもんじゃない。
一瞬で、しかも、どの方角かも分からない中の楽しい闘い。
他人は見ることができても、自分は見られない悔しさ。
そして自ら一瞬を見ることができた楽しさ。
ワクワクとハラハラが同居し、ああ、原体験とはこのようなことかと、
改めて深く感じたのでした。
予想したよりも流星は少なかったけれど、のんびり横になりながら、
星を見るのって、少し寒くても、なんだかのどかでいいなあ、
と楽しい時間が過ぎているのでした。

緑色、青色、黄色、白色。様々な色と長さと大きさの流星が姿を現し、
1秒もなく星が消えていき、また現れる2時間半でした。


ああ、この子達は明日、学校で眠いんだろうなあ。
僕も、仕事眠いだろうなあ。
「私、朝眠かったら学校休む」、うんうん、それもいいじゃん。
そんなにあせらなくったって、休めるならのんびり眠ればいい。
僕は仕事を休まないけれど、眠いながらものんびりやればいい。

うん、うん、うん。
いろいろなことが頭をよぎりながら5:30、家に帰って眠りに
ついたのでした。

 

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