●1/30 sat.   ガレの喜び

両国にある大江戸博物館にエミール・ガレ展を観にゆく。
先週の「美の巨人たち」(いい声)でしっかりと予習ズミだ。


腹ペコだったので、まずは腹ごしらえと、両国ステーション近辺を歩いていると、
ここは両国お相撲の町。
駅前のパブでお昼ご飯を喰べる力士さん達に遭遇。
そして駅構内には携帯をいじりながら誰かを待つ力士さん。
誠に勝手ながら、純和風な出で立ちに携帯電話は風情がなかったとです・・。


ガラスをキャンバスに繰り広げられるガレの美は、たまにキテレツに感じられても、色彩は美しく、そこには自然に対する限りないやさしい目線にあふれていて、少し、感動した。

あそこまでストレートに自然に対する愛を表現出来るなんて、なかなかな出来ないことだ。うらやましい。
視点の斬新さは、浮世絵にヒントを得ていたようで、昔の日本人の美意識ってすごかったんだなぁ、とあらためて思う。


その後は銀座に行きて、松屋でやっている「デザイナーの文具展」を覗き、美味しい珈琲屋にて珈琲を啜り、月光荘にて気に入りのスケッチブックとイタチの毛の筆を買う。月光荘は居心地が良くついつい長居してしまう。
外に出ると小雨がパラパラと降っていた。
大江戸博物館のクマデの中にいた、マトリョシカ風こけしさん

●1/27 thu.    ビバ!2005


遅まきながら、ようやくエンジンがかかってきている。
今年は冬らしくない暖かい日が続いていたが、ようやく寒くなってきたせいか、ようこそ!2005、という気にやっとなってきた。

やりたいことも沢山あるし、無邪気にどんどんやっていこうと思う。
そしてよい年にしよう。


自分にうそのない絵を、ゆっくり描いていこう。と今日気がついてはっとした。

簡単に思えてそれは意外と難しい。
おどろくほどに、ときに自分は自分を欺こうとするからだ。
けれどあきらめてしまわずに、ちゃんと自分の欲望に向き合っていこう。
そして答えを出して、前に進んでこう。
そんな感じでゴー。


★NEWS
今日発売の雑誌「イラストレーション」の年度賞のページに(入選外でしたので)ちょこっと載っています。ご覧くださいませ。
新コーナー「線画劇場」がいつの間にかスタートしています。
パンダもの2点追加しましたので、こちらもご覧ください。

●1/15 sat.  寄席DAY


きょうは肌寒い雨の中、新宿の末広亭まで正月二の席の落語を聴きに行ってきた。

目当ては夜の部主任(俗にいうトリ)、お気に入りの小三治。
末広亭は昼夜入れ替えなしで、一度入場すると外に出られないので、伊勢丹の地下で食べ物と飲み物をたんまり買いこみ、1時くらいに座敷席へと陣取る。

悪天候なのに、寄席は沢山の人出で、立ち見まで出る盛況ぶり。

それから9時までの長丁場。
でもわたしは寄席の空間が好きなので、全然苦にはならない。
まったりと、ゆっくりとやさしいその空間にひたるのが大好きだ。
新宿のど真ん中にあるのに、末広亭の中は流れている時間が違うのだ。

落語や紙切り、奇術に漫才。入れ替わり立ち代わり現れる芸人さんを時にはおにぎりをほおばりつつ、茶をすすりつつ満喫する。


きょう良かったのは、三遊亭円歌さんと、なげやり漫才のいるこいる(楽しいことだけ考えましょーの、のいるの言葉に大喝采)、後は真打ち小三治師匠です。

小三治師匠が出てくると、場内がピリッとひきしまる。
決してどっかんどっかんと笑いをとるタイプではないのだが、噺にひきこまれるうちに、こらえきれないほどおかしくなってくる。
うまいなぁ!そしてかっこいいのです。あんな大人になりたいなぁ。

その後は新宿にありながら落ち着ける、気に入りの居酒屋で宴席。
日本に生まれてよかった、の一日だった。

●1/9 sun.  ウェルカムスプリング(迎春直訳)


少し遅くなりましたが、皆さま新年明けましておめでとうございます。

画像は本年の年賀状です。
数年ぶりに彫刻刀をにぎり、ばれんを駆使し、木版画にてつくりました。



お正月は実家のある岡山へ。

じゅうぶんにまったりし、里帰り恒例の「ガラスの仮面一気読み」も無事終え
(最新刊が出たばかりなので気合いが入る)、大原美術館へ行き、棟方志功の版画や
モジリアーニの婦人像にグッとつかまれ、満点の星に感嘆し、正月休みは終了。


わたしのふる里は、国立の天文台があるくらい星がよく見え、なにより空がとてもきれいだ。

特に夕暮れていく空なんて、色が何層にも重なって、絶妙なコントラストと色彩で、
歩いていても思わずハッとして立ちとまってしまうくらい美しい。

なので今回も上ばかり見上げて、ぼーっとしてすごした。
いつもぼんやりしてしまうのは、こんな空の下で育ったせいなのか、それとも元々そういう質なのかなどと考えつつ。

今年の年次テーマは、「シンプル」。
色んな物をそぎ落として、シンプルに物事を追求していきたいです。

今年もよろしくお願いします。
  
ばれんを駆使

●12/30 thu.   根津(notジュンパチ)散歩


年の瀬の下町へ、散歩兼写真を取りに行ってきた。

日暮里からはじまって、谷中〜根津〜千駄木という道のり。

昨日の雪のあとが、道のそこかしこに残っていてたのしい。

まずは日暮里の「川むら」というおそば屋さんに入り、鴨南でもすすって暖をとろうということになったのだが、これがこの日のゆく末を左右することに。

もりをすすっていたらすっかりいい塩梅になり、つい冷酒を1合頼んでしまう。マスの端に塩を盛り、一緒にいただく。(厄よけになるそうです)

まことにもって年の瀬気分!とよい心持ちで赤ら顔で谷中を散策。

この辺ははじめて来たけれどやはり良い。古い町並みは素敵だ。そして落ち着く。下町のたくましい生命力に少し元気をもらう。

昔ながらの紙をたくさん売っている「いせ辰」という紙屋さんへゆく。
室町や江戸時代にデザインされた模様は、粋できれいできゃぁきゃぁたのしく色々な紙やポチ袋などを購入。

元気があったら湯島天神の方まで足をのばすつもりだったのだが、夕暮れてすっかり冷えこんできたので、居酒屋に駆け込み、美味しいアテでまた日本酒。で1日が終わりました。


★News
カタログハウス発行の通販雑誌、「通販生活05年春号」読者のおすすめ本ページ にカットを描きました。購読されている方は年明けすぐの発送になるそうです。書店では1/15の発売になるそうです。ぜひご覧ください。

今年の更新はこれで最後になります。来年は1/5から活動します。
みなさまよいお年を。来年もよろしくお願いします。

●12/23 thu. 藤原新也写真展など。

新宿の住友ビルであった、藤原新也の写真展に。

藤原新也は写真家であり、旅人であり、文筆家でもある、色々な肩書きを持った人だ。


いちいち真っ向勝負で、全部自分でやってみて納得して、
でも全然押し付けがましくもいやらしくもない、
そんな彼の随筆が大好きで、一時期は彼の本ばかり読んでいた。

それは自分にうそをつかず、本当に一瞬一瞬を燃焼しているからだと思う。
かっこいい。


今回の写真展はポルトガルの風景や人を撮ったものだった。
町の独特の淡い色彩。空の抜けるような青さ。花のドキリとする赤い色。
夜のポルトガルの町の、まるでホッパーの絵のような雰囲気。

普通の部屋をイメージした展示の作りもおもしろくて、おすすめです。


そのあと一緒に行った友人たちと、家でベトナム料理パーティ。
タイ料理みたいに辛くなく、香菜いっぱいで、全て美味。
ワインもだいぶ進み、カルーアとトニックとライムで作ったカクテルも意外に成功し、
たくさん話して別れた。

さいきんはなぜかニルヴァーナばかり聞いている。
でも決してネガティブでなく。そんな師走。
ベトナム料理たち。

●12/18 sat. ザオ・ウーキー展


京橋にあるブリヂストン美術館に「ザオ・ウーキー展」を観に。

のどがカラカラだったので、ひとまず中のカフェでお茶をする。
広いし、建物も素敵だし、コーヒーはあつあつをお替わり自由で入れてくれるし、
銀座から歩いていける距離でこのカフェは魅力かも。と思う。
(カフェのみの利用も可。)

ザオ・ウーキーは初期の頃の明るい色調の作品がよかった。
色んな形に見える、墨や絵の具のしみのような不思議な形に、なんだかくーっとひき込まれる。

ブリヂストン美術館は初めてだったけど、常設展がとても豪華でおどろく。

レンブラントもユトリロも、ジャコメッティの彫刻もあって、どれも素晴らしい!

観たいと思っていたジャコメッティの彫刻が観れてうれしい。
前から観ると細なが〜いけど、横からだとマンボウのように平べったい。
理想の形を追い求めて、彫刻がどんどん細く細くなっていき、終いには無くなってしまうこともしばしばだった、というエピソードをたのしく思い出す。

しかし、ブリヂストン美術館、警備員の数が多すぎです。特に、企画展はどの絵を観ててもきっちりマークされてじっと見つめられるので、集中しにくい。
「さわりませんから!大人ですから!お金払ってるんですからゆっくり観せてください」とよっぽど言いたくなる。

その後表参道に行き、クレヨンハウスのレストランで食事。
クリスマス前の表参道の町は浮かれていておポンチで、おもしろかった。
キャッフェにて

●12/14 tue. 動いていく景色


土曜日、起きたら日がサンサンと窓から入ってくるので、
うかれて久しぶりに盧花公園まで散歩へ行った。

もう、すっかり園内は黄色の世界になっている。あとは鮮明な朱色。
あんまりきれいなのでぼーっとする。

歩いているとどんどん思考が動いていく。それが気持ち良い。

動いていけば景色は変わっていって、沢山気づくことも、変わっていくこともあり、
そして、全てはそこからはじまっていくのだ。

時おり、生きている実感をつかみたい、という強い欲求におそわれることがある。

私にとっての、生きている実感は、冬になれば落ち葉のじゅうたんを歩くことだ。
鮮明な朱色を見てハッとすることだ。

これからどこまでそれに近づけるだろう。
どれだけそれを体感できるだろう。

もっと身体を信じてゆこう。

身体はほんとうにたくさんのことを私に教えてくれる。
とどまっていてはだめだということも。

●12/9 thu.  ふゆのまち


とてもとても寒い1日。風が染みる。

用事で青山に行ったので、スパイラルマーケットへ寄る。

我が家の家訓は「お金がない時は素敵な雑貨屋に行かない」と「ハーゲンダッツ・クリスピーサンド(キャラメル味)は月に3個まで」なのに、MOLESKINEのノートを買いにね、などと言いつつ寄ってしまい、結局fogのリネンも買う。

スパイラルマーケットは雑貨好きには、たまらない所だ。
トキメキスウィッチ押されっぱなし。しかし手元の資金にはかなり限りが。
「うんうん、そうか」「そのうちね」などと、心の中は大騒ぎだ。

電車でずっと有吉佐和子の「恍惚の人」を。
読む前はちょっと重いかな〜、と思っていたがぐいぐい引き込まれて、読み終わりもすがすがしかった。

思わず身体がくっ、となる位寒いけど、冬の町をぐるぐる歩きまわっていたら、やっぱり冬はいい、と思った。なんといってもあの立ちのぼる湯気が。わたしを幸せな気持ちにするのさ。

あったかいローズヒップティーを買って帰る。

●12/4 sat.    ゆめ風基金のこと。

知人に誘われて、カタログハウスであった「ゆめ風基金」呼びかけ人によるトークライブへゆく。

メンバーは永六輔さん、ピーコさん、小室等さん、谷川俊太郎さん。

ピーコさんはとても素敵な方だった。
存在自体がキラキラと輝いていて、ほんとうに美しい心を持った人だというのが、お話を聞いているだけでじんじんと伝わってきて、感動してしまう。

そしてやっぱり谷川さんはすごい人だった。だって詩を読む前に、「谷川俊太郎、72才!」って言うんだもの。詩も、朗読もとても良かった。


夜になると、雨が激しくなり風がゴンゴン鳴っている。
いつも不謹慎だと思うのだが嵐の音がとても好きで、安心してくうくう寝てしまう。


●「ゆめ風基金」は、NPO法人で、被災時の障害者支援のための積み立て基金です。
あんまり深く考えたことがなかったけど、障害を持った方が災害にあうと、当初の心細さだけでなく、避難所も生活拠点にはできないそうです。
この基金により、その地で生活できるバリアフリーなプレハブ建設が可能になったそうです。
興味のある方は検索サイトで「ゆめ風基金」と検索してみてください。

●12/3  fri   ぼんやり日和。

朝から抜けるような青い空。通勤の電車の中に日の光がポカポカ差し込んできて気持ちいい。

あんまり空が青いと、ぼんやりしてしまう。
ついつい上ばかり見上げて、どこかに何かをぶつけてしまい涙目になっていたりする。

ヨドバシに預けていた時計を引き取りに行った。祖父の形見の時計で、電池切れかと思ったら電池は切れておらず、でもかちかちと動き出していた。

「時計内部の問題で、もう部品の製造はされていないので、あとはもう時計の持つ力ですね〜。それで動いたり、動かなかったりするんです。」
とのこと。時計も生き物と同じだ。がんばれ時計。


夜はグッと冷えた。

昨日打ったインフルエンザの注射のせいなのか、風邪気味でやれんのでセツにも出ず、すごすごと早めに家に帰る。
なぜかもうぜんと生姜焼きをつくって食べ、ありえない位身体がポカポカと暖まる生薬入浴剤で暖まって日が変わらないうちにねる。

それにしても、風邪のひき始めはむしょうに自炊がしたくなって、つくれば美味しくてもりもりと食べ、それで直ってしまったり直らなかったり。

そんな時はどんなに美味しくても、外食ではあの血となり肉となる感じは出ない。
なぜなのだろう。

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2004.10・11
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