はじめに



 1979年にノーベル平和賞を受け、世界中の人々から尊敬されたマザーテレ
サは、インドの貧民窟で死にゆく人々を介抱した人として知られています。しか
し、彼女がやっていた内容を、本当の意味で知っていた人は少ないのではないで
しょうか。
 尼僧としてインドのカルカッタで奉仕活動を始めた彼女は、病気と貧困に苦し
む人々の姿に心を痛めました。インドの貧民窟では、乞食として生活しやすいよ
うにと、生まれてすぐに手や足を切り落とされ、捨てられていく子供たちさえい
るのです。                                
 生まれた時から親に捨てられ、学校にも行けず、誰からも喜ばれず、乞食とし
て一生を送り、年老いて今まさに死のうとしている人々を見て、マザーテレサは、
「あなたは望まれてこの世に生まれたのですよ」と語ったのです。
「あなたは自分の人生を呪い、この世に何の喜びも無かったと思っていますね。
  でもあなたが生まれた時、あなたを見つめ心から喜んで下さった方がおられる
のです。それは人類の全ての人の親である天のお父様です。あなたの辛く苦しい
人生を、天のお父様はずっと見つめながら心を痛めておられました。あなたはこ
の世の旅を終えようとしていますが、天国では、天のお父様があなたを暖かく
迎えてくださいますよ。あなたも神の子なのですから」 
 誰からも見捨てられていた貧民達は、生まれて初めて聞いたこの言葉に胸を打
たれ、やがて安らかな笑顔で死んでいきました。
 マザーテレサは、貧民達の死に際して、神様が私達の親であり、「あなたも神
の子なのです」と伝える事こそが、最も大切なことであり、最高の愛であり、福
音であると確信していたのです。                 

信仰への理解

 
 日本人は世界から見ると、宗教音痴と言われています。正月には神社に初詣に
行き、お盆には墓参り。クリスマスを祝い、キリスト教会での結婚式に憧れるの
に、肝心の宗教の事については、ほとんど理解していません。
 今、世界で宗教人口が一番多いのはイスラム教と言われています。その人口は
12億とも言われ、もともとのアジア、アフリカからアメリカやロシアにまで広
がりをみせています。
 ヨーロッパと南北アメリカで広く信じられている宗教は、言うまでもなくキリ 
スト教です。キリスト教は西欧文化に大きな影響を与え、韓国やフィリピンなど
にも多くの信者がいます。このように世界を見てみると、信仰を持ち、その信仰
に根ざした生き方をしている人が大変多いということであり、その事を理解して
いないと、世界を理解できないという事にもなりかねません。
 さて、ここで私たち自身について考えてみると、親に連れられて、あるいは何
かを求めて教会に行ったことはあっても、まだ神様を心から信じ、親として実感
するまでには至っていない人が多いのではないでしょうか?

神を確信したい

 
 神様が本当におられるのなら、漠然と信じるのではなく、人類の親、私の心の
拠り所としてはっきりと確信し、心の中で会話できるまでになりたいものです。
「神を知る事と、神を愛する事とは天地の差がある」と言われています。神と共
にある人生を自分のものとし、希望と喜びと愛に満ちた人生を送りたいと思いま
せんか?それは神を親として実感し、「私は神の子です」と確信して生きる生き
方から始まります。
「そんな事は無理無理!神様もよく分からないし、実感なんてできない。教会
に行って神に祈っても答えも無いし、自分の心を見ると嫌な所だらけでうんざ
り。教会に行って自由に行動できなくなったりするのも嫌」。
 ご心配いりません。誰もが始めはそうなのです。しかし、イエス様が「私は
道であり真理であり命である」と語られたように、信仰というのは罪人である
人間が神のもとに帰り、誰でも神の子となれる道を教えてくれるものなのです。
 イエス様が成し遂げる事が出来なかった天国実現という課題を与えられた文鮮
明先生は、ご自分の信仰生活とみ言葉を通じて、人間が神様のもとに帰る公式を
完全に解き明かし、示してくださいました。
 私たちはそのみ言葉を学び、その通りに実践していけば、誰でも神の子になれ
るのです。それは、1+1=2という数学の公式のように、誰でも理解する事が
出来ます。キリスト教徒も、イスラム教徒も、仏教徒も、無神論者も、「これな
ら理解出来る。これこそが自分の求めていたものだ。」と納得できるでしょう。
 それは空気があることは誰もが知っているように当然の事であり、宗教という
従来の概念を超えたものとなります。やがて、宗教や教団というものは必要なく
なるでしょう。それはあくまでも過渡期に必要だったものなのですから。
 しばらくの間、この場所をお借りして、私たちが親である神様のもとに帰って
行くその原則について、一緒に学んでいきたいと思います。