サタンに騙されている自分


                           元気が出ない、何をやっても駄目。それよりも、こんな自分が大嫌い。早起き

をしようと決意しても、眠気に負けてしまうし、こうありたい、正しくありたい

と心では願いながらも、実際の自分の身体は、それと正反対の悪いほうにずるず

ると引きずりこまれていく。

「なんていやな人間なのだろう。自分はやはり駄目な人間なのだ」と、絶望の

どん底にある人が多いのではないでしょうか。

 青春時代の私は、劣等感のかたまりのような人間で、いつも暗い顔をしていま

した。しかしある時、人間の背後からそっと忍び寄り、まるでその人の良心のよ

うな顔をして、人間に自信を無くさせ、不幸に引きずりこんでいる、目に見えな

い精神的存在である悪霊サタンの存在を知り、それまでの人生観が百八十度変わ

りました。

 「駄目だ、駄目だ」と思うと「そうだ、お前はやっぱり駄目な人間なのだ。自

分で決意したことも出来ず、いつも自分に負けているではないか!お前は正しい

人間ではないし、愛のある人間でもない。悪を好み、人の不幸を願う、とんでも

ない人間ではないか!」と暗く心にささやいてくる存在が確かにあるのです。

 それまで私は、それは良心の声だと思ってうちひしがれていました。しかし、

人生の師とも言える先生から、それがサタンでありサタンに騙されていたのだ、

サタンへの敵愾心が必要だと教えていただきました。

 なるほど、そう言われてみれば、「やはりお前は駄目だ」という声は、確かに

その通りなのですが、何の力も与えてくれず、やる気を失わせ、人間を駄目にし

ていくだけです。 

     人間に勇気を持たせ、正しく愛を持って生きようとさせる存在が神であるなら、

人間に自信を失わせ、不信と絶望に追いこんでいく存在は、まさにサタンそのも

のなのです。 

       前回、生きて働くサタンを認識することが人生において、とても大切であると

書きましたが、個人から家庭、氏族、民族、国家、世界、人類を不幸にさせてき

た悪の正体が、この目に見えない霊的な存在であり、宗教で悪魔とかサタンと呼

ばれている存在だったのです。

       親である神様は、こういう駄目でみじめな私達を見て、「駄目なやつらめ、出

ていけ!」と言われるでしょうか?

 そんなことはありません。悪魔に心を支配され、惨めな姿になっている私達を

見つめ、親として心を痛めておられるが故に預言者を遣わし、宗教を起こし、救



い主を遣わされたのです。 

 そしてどんな人間にも、親である神の子として、神が大切にし、愛しておられ

ること。本来の人間に戻れる救いの道があることを教えてくださったのです。

 神様から見れば、人間はサタンに心を操られ、自己嫌悪になり、本来の輝きを

失って腹をたてていたカインに対して、神は次のように語っています。

「なぜあなたは憤るのですか、なぜ顔を伏せるのですか。正しい事をしている

のでしたら、顔をあげたらよいでしょう。もし正しい事をしていないのでしたら、

罪が門口に待ち伏せています。それはあなたを慕い求めますが、あなたはそれを

治めなければなりません」。

 怒りや憎しみは、自分の心のようですが、実は自分の本心ではなく、煽られて

増幅された邪心であり、自分のようでありながら、自分ではない悪の霊的な力な

のです。カッとなって人をなぐってしまったとか、殺してしまったということが

多いのです。そこまで行かなくても、怒りにまかせてひどい悪口を言い、人間関

係がこじれてしまったという体験を多くの人が持っているはずです。

 人間のプライドをくすぐり、怒りや妬みで、悪の力を燃えあがらせようとする

闇の勢力が、自分の心にささやきかけてくる時、それをサタンと見ぬいて、激し

く戦わなければなりません。なぜなら、その勢力が人と人との関係を切断し、不

信させ、戦わせ、不幸の世界を作ってきた張本人だからです。 

      世界の悪の根源は、政治体制でも経済体制でもなく、実は人間の心にしのびよ

ってくる、悪の勢力、サタンなのですから。

 もちろん現実の世界は、一人ひとりの人間が、善意と知識と努力を持って生き

ている世界です。社会をより幸福で愛と善意に満ちたものにしようと努力してい

ます。

 しかし、その背後で親子夫婦、人間と人間、民族と民族を対立させ、混乱させ、

ている世界です。社会をより幸福で愛と善意に満ちたものにしようと努力してい

不幸にさせようとしている悪の勢力が確実に働いているのです。

 今日の世界は、東西のイデオロギー対立がようやく終わったかと思うと、宗教

紛争、民族紛争でますます混沌となってきています。アメリカが軍事力をもって

しても、解決することはできません。なぜなら、これは目に見えない勢力との戦

いだからです。

 今までの宗教や思想でも、不可能です。それは、悪の根源を解明できておらず、

その正体をどう見抜くのか、どう戦って克服したらいいかを完全には教えてくれ

なかったからです。

         しかし終末と呼ばれる現代に、神は救世主を遣わして、この奥義を解きあかし

てくださいました。