第27章 仲の良い夫婦


 家内とは婚約五年、結婚生活二十五年で、最後はくも膜下出血で突然に神様の世界
に行ってしまいましたが、今も地上の私と、「奥様は魔女」のような、面白い夫婦生
活を続けていますから、通算三十四年の夫婦生活です。

 この間、一度もケンカしたことがなく、仲の良い夫婦親子であることが自慢でした。
夫婦喧嘩の絶えない家庭で育った私は、親が仲が悪いことは人生で一番辛いことだと
感じていました。ですから新婚旅行の夜、家内に自分の生い立ちを話し、仲の良い家庭
を作ることを第一の目標としようねと話し合い、それからも時々夫婦のあり方について
語り合い、相談しあって来ました。

 育ってきた環境の違いによる価値観の違いや食べ物の好みの違いなどは大きく、家庭
を持ってからは毎日が発見と驚きの日々でした。男と女は別の惑星の生き物、宇宙人と
生活しているものと思って生きていたほうが、間違いがないと思いました。実際は私の
宇宙人の程度のほうが高かったようで、ある日家内から「私はこのままではやっていけ
ません。辞めさせて下さい」と言われた時には驚きましたが。

 仲の良い夫婦になるために、私が努力してきたことをあげてみます。
まず、自分たちは神様によって出会わされた運命のカップル、最高の相手であり、仲の
良い夫婦であると思いこんでそう努力するということです。実際は、結婚したあとに、
もっといい人が現われてくるかも知れません。でもそんな及び腰ではいい夫婦になれま
せん。きっばりと諦めましょう。心引かれる人の写真や贈り物を捨ててください。結婚
したことを告げて、背水の陣を作ってください。

 異性への夢を捨てましょう。青春の恋に恋していた時代に別れを告げ、「この人が運
命の人」と思って、現実の生きた人間を愛することを学びましょう。その中で、愛とは
「忍耐」であり「許す」ことであり、「信じる」ことであると教えられてきます。そし
てしっとりとした、落ち着いた夫婦愛が育っていきます。二人で愛情の木を育てるので
す。

 会話と料理と性生活が大切な栄養です。夫は妻の話を真剣に聞くこと、妻は夫を誉め
ることがとても重要です。

 夫のロマンを大切にしてあげてください。家庭での真心を込めた料理は、夫の心を動
かします。信頼と愛情の中で時間をかけて育てていくと、慣れない性生活でも、すばら
しい世界が開けてきます。喜びと相手への感謝の思いが生まれ、他の異性はまったく必
要なくなります。

 夫は尊敬され、信頼されると責任感を持ち、面構えもよくなってきます。妻は夫に愛
されると美しくなり、しっとりとして自信を持つようになります。お互いに幸せである
ことを感じますから、おしどり効果ばっちりです。

 家事と子供のことでくたくたで、とても夫の相手などしていられませんなどと言わず、
一番大事なことなのですから、時間をさき、心を集中させるようにしましょう。