あと半年の命ならどうする




あと半年の命と知った時、あなたは何をしますか?

「なぜ自分が死ななければならないのか!」という苦しみや怒りをどうするかは

別に考えるとして、あなたはまず残された人たちのために、やらなければならな

いことがあります。

何故ならあなたという存在は、あなた一人だけのものではなく、家族や友人や

多くの人たちの中での存在なのです。死という入り口に向かおうとしているあな

たは、個人的に成すべきこととともに、人との関わりの問題をまず処理していか

なければなりません。



感謝のメッセージを書き残す



 それは、あなたの感謝の思いを、家族や友人に伝えることです。語る言葉はい

ずれ消えていってしまいますので、短くてもいいですから、感謝の言葉やその人

への思いを手紙にして残しましょう。母親が、残された子供のために、20歳に

なるまでの誕生カードを作り、その子の誕生日に到着するように友人に頼んでい

ったお話もあります。書きしるされた愛の言葉は、残された家族や友人の手元に

いつまでも残り、あなたを思い出すための大きな役割を果たしてくれます。

 葬儀で集まってくださる親戚、友人、知人の皆様のためのメッセージを、意識

がはっきりしている時に書きしるすというのもいいのではないでしょうか。



こじれた人間関係の修復



 長い人生の中で、人間関係がこじれ、お互いに傷つけあっていることはかなり

あります。これは家族や親友など、関係が近ければ近いほど深刻なものです。こ

ちらも苦しいですし、相手も苦しいのです。

 そしてあなたが亡くなると、相手はその問題を地上では修復できなくなってし

まいます。死という大きな課題に向かおうとしているあなたに、それらの問題は

もはやそんなに許しがたいことではないはずです。まずあなたから折れて、許し、

あるいは許しを乞い、その問題を解決してから、すっきりと死を迎えるというの

は、せいせいしてとても気持ちのいいものとなるはずです。



自分の人生の記録を書く



 愛する夫や妻、子供たちのために、自分が歩いてきた人生の記録を書き記すの

も大切なことです。意外なものですが、身近な人に自分の人生の歩みを、きっち

りと語っていないものです。今すぐその記録が必要ないかもしれませんが、やが

て亡くなったあなたのことを知りたい時が着た時、その記録はかならず大きな役

割をはたしてくれることでしょう。

 文章がへただからとかは関係ありません。あなたが、あなたにしか語れない内

容を記録し、愛する人たちに伝えるということに意味があるのです。

 長い人生の重要な部分を書くだけでも、数ヶ月はかかります。これは、ある程

度の年齢になったら、誰でも始めたほうがいい、人生の重要な作業かもしれませ

ん。こうして自分の人生を振りかえる中で、死に向かっていく自分が、最後に何

をなすべきかが見えて来るようになるのではないでしょうか。



身辺の荷物の整理



 あなたが生きてきた結果として、あなたに関係するものとして、衣類、書籍、

書類、コンピューターデータ、さまざまな機材などがあります。これはあなたが

亡くなったあと、残された家族にとっては、捨てるに捨てられず、かなりのお荷

物となってしまうものです。

 残された家族への愛として、これらは自分で判断して処分できるうちに処分し

ましょう。もちろん、形見として家族や友人が欲しいというものは、あげればい

いのです。

 家や土地などの財産価値があるものを持っておられるのであれば、正式な遺言

書をしっかりと作り、家族親戚の争いの種にならないようにしておかなければな

らないことは、言うまでもありません。