2001年 シンガポール(8/8)

Date
2001.8.10
Flight No.
CX504
Aircraft Type(Registration No.)
B747-467(B-HOT)
Route
HKG-NRT

HKGがいよいよ目を覚ましはじめる。5時頃だっただろうか。静寂を破るアナウンス で目が覚めた。眠気はあることはあるが、落ち着いて寝てもいられない。

リュックに入れて来たクロワッサンを食べ、朝食にした。味は日本のクロワッサンと 全く変わりない。まるで、日本でパンを買い、出先で食べるのと全く変わらない感覚 で食事をしていた。ここは海外であるが、日本での旅行と同じようなことをやってい る。クロワッサンを食べると手がべたべたするので、トイレの手洗い場で手を洗った。

トイレには手の乾燥機の他、手拭き用の紙タオルが置かれている。紙タオル置場のそ ばには「環境保護の為、乾燥機をお使い下さい」とあるが、このようなことを書くの なら、何故、わざわざ紙タオルを置くのだろうか?それから、HKGに限らず、海外の トイレで思うことだが、石鹸が強すぎて、これで手を洗うとすぐ手が荒れてしまう。 空港に限らず、ホテル備品の石鹸もそうだ。このせいで、何度ささくれを作ったこと か。今回は、たまたま持参した洗面キットの中に使っていない石鹸があったのでそれ を使ったが。海外渡航の際は、石鹸は必需品かもしれない。
でも、ささくれができるのは、石鹸のせいだけでなく、部屋の乾燥もあるかもしれな い。

しばらくこのベンチでグズグズしていたが、CX504のゲート番号が判明したので、出発 フロアへ移動した。CX504のゲート番号は3番である。ここはどの空港案内にも出てい るので、わかりやすい。それに、このゲート付近は前にも来たことがある。The Wing も近い。セキュリティチェックを受け、出発フロアに上がった。
今朝の天候は晴れ。すがすがしい朝だ。

免税店もシャッターを開け、開店の準備をしている。既に開いている店もあった。7時 頃の話だったか。一応、その開いている免税店も覗いてみたが、定番の酒、タバコ、化 粧品が大きく幅を効かせている。魅力を感じるものは特になかった。ここまで来れば、 多少荷物が増えても差し支えはないが。

3番ゲートに到着した時はまだ朝早いこともあって、乗客は少ない。The Wingにも人が いる様子はなかった。端っこの4番ゲートはTPE経由のCX450のゲートになっている。

搭乗開始予定時刻は8:25だった。次々と乗客達が3番ゲート周辺に集まってくる。ここ まで来れば、日本人の姿も増えてくる。老若男女、あらゆる世代の人達がこのCX504を 利用する為に集まってきた。
私が座っているベンチのそばには、ある高校生(か?)のグループを見かけた。5〜6 人ぐらいの日本人学生と、白人の男子学生1人、そして、ある程度歳のいった女性が 1名。この女性はどうやら、引率の教師のようだ。全員、私服を着ている。学校での 海外交流の活動なのかもしれない。暇だったので、こっそり話を盗み聞きしていた。 学生は大きな御土産袋を手にしている。土産袋にはクッキー(?)やチョコ(?)など、 お菓子の箱がたくさん入っていた。学校や家族への御土産だろうか。袋の感じからす ると、どうも香港土産には見えない。彼らもやはりトランジットなのだろうか?

様子を見ていると、何やら白人の学生が航空券をチェックしていて、1人の日本人男 子学生が彼にいろいろ聞いている。この白人学生は日本語がわかるようで、これらの 会話は日本語でなされていた。その後、日本人男子学生は係員を呼んだようであり、 CX係員がこのグループのところに来て、何やら話をしている。しばらくした後、この 係員はいなくなったが、その後の会話によると、この白人学生は実際は本便の有効な 航空券は持っていたが、何故か、どこかで航空券がないものと勘違いされたらしい。 そのことでトラブルが起きたように見える。必要なことだからであるが、若いのに、 冷静に対処している。CX係員と交渉したりもしている。若いのに、勇気ある学生だ。 その後は引率の教師や仲間と雑談していた。今回はCXの乗り継ぎ便だから航空券が いくらぐらいだったけど、JALの直行便ならどうなのか、とか、旅行費用についての 話もしていた。話を聞くと、どうやら、彼らはオーストラリアからの乗客のようだ。

その頃、私は突如、激しい腹痛に襲われた。下痢をする様子も見られなかった。時々、 私は便意のある時に腹痛になることがあるが、今回は便意は全くない。何が悪いのだ ろうか?考えられることは昨日の食事、HKGで冷水器の水を飲んだこと、ミネラルウォ ーターをちびちび飲んでいたから、何か悪い菌でも入ったのか。よくわからない。 CXは出発20分前には搭乗口にいることを口すっぱくして言っているから、トイレに行っ ていて乗り遅れた、というのは最悪。でも、トイレに行ってもどうしようもできないの だが。

搭乗開始の時刻になった。搭乗口には長い行列ができていた。この前のCX2074、そし てHKGでは落ち着いて寝られなかったので、今回はゆっくり休もう、と思ったが、眠 れないのだろうな、きっと。

このフライトには日本人だけでなく、中国人(香港人か?)も多く搭乗している。通路 を挟んで私の席の斜めとなりには若い中国人女性。彼女はサンダルを履いている。格 好は、茶髪に顔黒ではないが、このまま渋谷や原宿を歩いて同化できそうな感じだと 思う。日本だけでなく、どこか周遊するようで、旅行会社のチケット入れにATB券の券 片を何枚も入れている。面白いのが、普通、ATB券の券片は1冊に綴じられているが、 この券片は綴じられておらず、バラバラになっていることだ。でも、気をつけないと 券片をなくしてしまいそうで、怖い。あともう1つは、券片の裏はCXの従来仕様の搭 乗券のデザインと同じになっている点。地元香港でCXの航空券を発行してもらうとこ うなるのだろうか?このような切符を見たのは初めてだ。 なお、彼女には連れはいなかった。

私のまわりのY席はどこも塞がっている状態だった。私の席の隣は空席だったが、窓側 には1人旅の女性。Yだから当然だが、人口密度が高く、狭く感じる。
オーバーヘッドビンに大きな土産袋を押し込む姿が所々で見られた。
特に目だった遅れもなく、ダッシュ400は成田へ向けて離陸した。予定飛行時間は約3 時間50分。平均的な香港-成田の飛行時間だろう。

フライト中のサービスは特にいつもと変わるものはなかった。機内食は選択があった が、例のごとくメニューがないので、何を食べたかどうかは覚えていない。日本食は なかったような気がするが、茶そばは付いてきた。ここでもしっかりタイライスは出 てきた。味はなかなか良かった。飛行時間、距離ともに似たようなものだからかもし れないが、サービス内容に「制限がある」CX2073/2074とさほど機内食は変わりがない ような気がする。ドリンクサービスもそう違いがない。何が違うか、といえば、本便 では免税品販売があるのと、CX2073/2074ではアメニティグッズサービスがあったくら いだ。

免税品はカタログにある申込票に必要事項を記入して購入する形。カートでも廻って きたと思った。例の中国人女性、カタログを見ると何やら注文している。そして、購 入したものが、CXオリジナルのトラベルワレットだった。自分はCXグッズで何か注目 すべきものがあったら買おうかとも思ったが、今回はそう魅力的な商品がなかったの で、さほど気に止めなかった。Spirit of Hong Kong 2000や747-400の模型もあったが、 前者は既に持っていたし、747-400もさほど欲しいとは思わなかった。自分の持ってい るのは1/500である。自分のは小さいので、もう少し大きいのが欲しかった。1/400な ら前者は買ったかもしれないが。ちなみに、Spirit of Hong Kongの模型はUS$26であ る。この模型がどうしても欲しくて、Airline誌に広告のあった巣鴨の模型屋にわざ わざ電話してキープしてもらい、買いに行った記憶があるが、その時の値段が確か 6000円台。限定品だから仕方がないが、この$26を見ると随分高いと思ってしまう。

彼女は購入したワレットに早速航空券やパスポートなどを入れていた。自分はワレッ トなど使い道がないと思っていたが、考えてみたら、旅行につかわなくても、預金通 帳などの整理にも使えそうだし、なかなか良さそうなものだ。彼女が実物を取り出し ているのをみて、少しは欲しいと思ったが、まあ、いいや、使い道も限られているし で結局は買わなかった。が、帰国してその時の光景を思い出すとやっぱり欲しくなっ てきた。買っておけば良かった。日本では手には入らないことを考えると、あの時買 わなかったことが非常に悔やまれる。

何気なく隣をみる。隣の女性は鞄の整理を行っていた。すると、今回の旅行で利用し たフライトの搭乗券がでてきた。成田-香港に始まり、CX261、CX260といった便名が でてきた。彼女はパリへ行ったのである。そういえば、今回のフライトではこういう 乗り継ぎ旅客がよく目についたと思う。CX261/260関係はこれで2回目だ。「リーズ ナブル」ということでこれらの欧州便に乗る日本人は夏に増えるのだろうか。

この旅行もいよいよ佳境に入った。日本領空に入り、フライトパスをみると進みは遅 いように見えるが、一刻、一刻と成田が近付いてくる。

今回の旅はSQバティックの買い出しと蘭園で時間をゆっくり過ごしたい、という、一 般の日本人観光客がごく普通に考える動機(SQバティックは買いだししないかもしれな いが、ショッピングという点では変わらないだろう)から始まったが、旅先で見聞きし たり、経験したりして、いろいろなことを考えさせられた。独立記念日に湧くシンガ ポールに出会い、国の誕生日を祝福できる幸せ、そして、かつての戦争のこと。
独立記念日、そして太平洋戦争の終戦に近いこの時期にシンガポールを訪れることがで きて、本当に良かったと思っている。外国を旅すると日本のことがいろいろわかってく る、というが、今回の旅では日本について考えることも多かった。

ある乗客が明報を読んでいた。そこには靖国神社に参拝する閣僚か何か忘れたが、その 参拝の写真が大きくでていた。多分、批判する内容の記事だろう。
そんなことを考えながら、成田到着を待っていた。

いよいよ、着陸、という時になった時、何と、ATCの許可が降りないのですぐに着陸で きないという。空港が混みあっている、というのだ。結局、NRT上空2000m(かな?)を 20分近く旋回する羽目になってしまった。機内アナウンスでは到着が遅れることをお 詫びしている。それにしても、何故そんなに空港が混んでいるのか?アメリカ(?)の 某社がまた何かトラブッているのでは、と思ってしまった。この某社、乗ったことは ないのでよくわからないが、飛行機はぼろい、CAの態度が悪い、燃料はケチる、など、 あまりいい話がないらしい。

到着後は検疫、入国審査、税関、ということになる。アメリカからの別の便も到着した ようで、アメリカ土産をたくさん詰め込んだ大きな袋を持った若い集団をよく見た。 この乗客とCX504の乗客が入り混じって、CIQへ行く通路は賑やかになった。 まずは、トイレに入った。トイレも結構混んでいる。CX504の乗客と思われる日本人の 若い女性グループが雑談している。旅の思い出話、休みの話など。香港で買物、グル メを楽しんできたのだろうか。このような友達同士で海外旅行する日本人ギャルはよ く見かけるが、海外に行くとなるとお金もかかるし、私の友達は皆結婚しているので、 このような旅をすることはないだろう。それに、私の趣味は結構特殊だし、無理に付 き合わせる訳にはいかない。

香港からの便なので、検疫の質問票は機内で配られることはない。シンガポールから 到着したときはいつも書いていたので、確認したところ、シンガポールは書かなくて も良くなったそうだ。でも、シンガポールでも腹いたになったし、CX504への搭乗前も 腹いたになったので、念のため健康相談センターへ行く。多分、問題ないと思うが、 万が一熱帯特有の病気でもかかっていたら、それこそヤバい。

相談員は若い医師だった。症状を話し、シンガポールだけの訪問だった、というと、 2〜3日様子を見て、休養してください。特に問題はないでしょう、とのことだった。 この医師の言うように、本当に問題はなかった。

イミグレで入国の印を押してもらい、下のバゲージクレイムに行くが、何も荷物は預 けていないので、そのままパス。当然、税関も免税区分だ。酒、タバコ、香水は買っ ていないし、20万も買物はしていない。係官には渡航地と免税枠に入っているかを聞 かれただけで、そのままパス。

外に出ると、出迎えの人混みができていた。日本に来た外国人の出迎えや知人、友人 の出迎えだけでなく、ある高校の校旗を持っている人もいた。校長先生のような人も いる。親善旅行か何かで帰国した高校生を出迎えるのだろう。

余ったシンガポールドルを日本円に両替する。残った紙幣は$251だったが、最終的に は1万数千円。今回は結構使うかと思ったが、随分余ったものである。3万円も要ら なかった。

家に帰国の報告をした後、再び京成特急で帰宅の途に着く。旅の終りはやはりわびし い。改札を通る時、駅の出口が見えた。これから海外に出かける人達が列をなして空 港に向かって行く。世の中の夏休み休暇はこれからなのだ。

京成特急の中では間欠的ではあるが、よく居眠りをした。そして、日暮里で山手線に 乗り換え。ここでもCX504の乗客を数人見かけた。家族連れで、小学生ぐらいの男の子 と女の子がいたと思った。しゃべっている会話から、日本人ではない。香港人と思わ れる。子供の手には機内でサービスしてくれる玩具キットの袋があった。そして、リ ュックサックにはジャンボのぬいぐるみのキーホルダーがついていた。

その後は山手、小田急と乗り継ぎ、家に戻ったのは19時頃だったか。 母への御土産の口紅3本セットと扇子は好評だった。口紅は果たしてどうか、と思っ たが、気に入ってくれたようで安心した。シンガポールの土産話もいろいろしたが、 今まで香港以外のアジアには全く興味を示さなかった母も、物価の安さに多少は興味 を示してくれたようだ。

そして、わざわざシンガポールまで出かけて行ってまで購入したSQバティックについ ては、夏休み明けから再び公私ともに忙しくなったので、どう調理しようか、まだ考 えておらず、私の部屋に眠っている。このルポが完成してから考えよう。

そして、旅行中に撮った写真は、やっぱりいくつかのシーンが失敗している。NRTやHKG の搭乗口の様子や、CX2074の機内で撮ったクルーとの写真が見事に写っていない。しま った。また、他にも撮っておけば良かった、というシーンもいくつかあった。やっぱ、 今度の旅行までにはデジカメを買おう、っと。


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2001年 シンガポール(7/8)