病気と治療・水槽内トラブル
病気と治療・水槽内トラブル


海水魚の病気の原因となる細菌やウイルス、寄生虫というものは、海中でごく自然に存在している。
病原生物のいる環境であっても、健康である海水魚たちは病気にならない。

海水魚が自分自身の免疫システムを持っていて、病原生物との間でうま〜くバランスを保ち共存しているのだ。
しかし、何かのきっかけで水質の大幅な悪化や環境の変化、外傷やストレス、新入りの魚等が引き金となり、
生態系バランスが崩れて病気が発生する。水槽という狭い世界では、尚更このバランスが崩れやすいのだ。
我が家の水槽でも幾度かトラブルが発生し、治療の成功だけでなく、苦い思いをしたことも数多い。


ポップアイ
金魚のデメキンのように目が飛び出してきてしまう病気。
病気の原因は、水中の細かい気泡やゴミ、または水質やストレスなどと思われる。 人でいう「ものもらい」みたいなものかも知れない。
5cm あるかないかの小さかったマクロススが来てまもなく、片目が飛び出してきたことがあった。 目の表面が白く濁り、本人も気になり不安とみえて、岩陰に隠れて泳ぎまわろうとしない。 強くて大きいヒレナガハギと一緒だったので、ストレスもあったのだろう。 水槽の水を半分ほど交換し様子をみていたら、1週間でケロッと治った。
ポップアイになると、このままどんどん目が腫れて、ポロンと落ちてしまうのではないかと 心配になるが、完治しない場合どうなるのかは不明。 他の魚種でもこの病気が出たことがあるが、その場合はいつも水換えをする。 そうすると1 週間〜10日間くらいで、いつのまにか治っていることが多い。
とにかくきれいな水を保つことが一番!

リムフォシスティス病

ウイルスが原因で鰭の縁などに白い綿菓子みたいな塊ができる。 外傷やスレ傷などから感染するようだ。 口や鰓にリムフォができると、ゴハンを食べたり呼吸をしたりすることができず、 場合によっては死亡することもあるらしい。
ヒレナガハギが一度リムフォになったけど、胸鰭の縁であったし本人もいたって元気なので 海水魚店のオーナーの言うようにほおっておいた。 はじめ1-2ミリだったものが5-6ミリまで大きくなって、 今にもポロンと落ちて取れそうな感じになるが、実際なかなか取れない。 ホンソメくんも食べてくれる様子はない。 と、ある日一晩ですっかりきれいに取れてなくなっていた。
へぇ〜!びっくり、こんなに簡単にポロンと取れてしまうんだ。 本によっては、指でこすり落として薬を塗るとかあるけど、結構これは荒療治って感じ。 リムフォができた部位によっては、ほおっておくのがいいみたい!
あとはやっぱりきれいな水を保つこと。

ウーデニウム病
身体に白コシヨーを振りかけたようになる、寄生虫の病気で、 アミルディニウム・オケラテウムという絶対覚えられないような名前の鞭毛虫が寄生する。
白点病とよく似ているが、白点病よりも細かいプツプツができる。 息苦しそうに呼吸が速くなり、ひどい場合は死亡してしまう。
治療は、白点病のときと同じく、にっくき鞭毛虫の成長サイクルに合わせて硫酸銅で行うが、 投薬のタイミングがなかなかむつかしい。 治療の期間も若干必要となるので、焦らず確実に行わないと。
硫酸銅治療は、上手に行えば効果大だが、量や時期など間違えると、薬で魚を殺してしまう ことにもなる。毒性を中和するアクアセイフ等が入っていてもだめ。 失敗した苦い思い出がある。

白点病

ウーデニウム病よりもっと大きな白い点が身体につく、これも寄生虫の病気。
クリプトカリオン・イリタンスという繊毛虫が身体に寄生する。 海水魚を飼育していると、必ずといっていいほど経験する病気の1つだ。
クリプトカリオンの成長サイクルは、ウーディニウムとほぼ同じで、 遊走子 → 成虫 → 被嚢体 → 遊走子 という生活史を繰り返し、 爆発的に繁殖していく、これは恐るべき病気なのだ。
  • 遊走子
    魚の身体に寄生して養分や血液を吸い成長する。まるで自由に泳ぎまわる吸血鬼だ。
  • 成虫
    成虫になると魚の身体から離れ、活着する場所を見つけ 被嚢体(シストという卵みたいなもの)を形成する。
  • 被嚢体
    4日〜20日で数百倍にも分裂し、自由に泳ぎまわる遊走子となる。
  • 遊走子
    分裂したあとの膨大な数の遊走子は、再び魚の身体に寄生する。 24 時間以内に寄生できなかった場合は、死んでしまう。
このようなサイクルになっているため、初期のうちに的確なタイミングで 確実に治療をしておかないと、ほんの数日でものすごいことになってしまったりするのだ。 何故なら、治療薬となる硫酸銅は、遊走子のときにしか効果がないのだ。 幾度、泣かされたか・・・。

硫酸銅治療について
硫酸銅を使用することは、白点病やウーディニウム病に対して、最も一般的な治療法。 でも、いつするにしても恐い治療法だと思っている。
硫酸銅はとてもきれいなコバルトブルーの結晶ですが劇薬。使用する量をきちんと計算し、 「病原虫は死ぬが魚には害のない量を使用しなければだめ。硫酸銅の濃度が高過ぎれば、 かわいい魚はショック状態になり、最悪の場合は死んでしまいます。
しかも、硫酸銅治療は病原虫が遊走子のときにしか効力がないので、 タイミングが難しいということです。 治療期間が長引いてしまうと、魚の体力が持たないことも考えられるので、 できるだけ効果的に短期間で治療をする必要があります。

硫酸銅水溶液の作り方

硫酸銅の投薬濃度は、0.5 〜1.0ppm が一般的ですが、我が家は0.3ppmで退治できました。
飼育マニュアルのような書籍によると、硫酸銅水溶液の作り方は本によっていろいろで、 理科とか化学とかチンプンカンプンの人間にとっては、 「ピーピーエムって何?」からはいるのであるから、それはもう大変! 私自身かなり混乱し、計算方法の意味を把握するのに苦労しました。

(例)硫酸銅水溶液の作りかた
  1. 硫酸銅4gを用意する。(この4gというのが みそ)
  2. 1Lのぬるま湯に上記a を溶かす。保管は冷暗所にて。
  3. 上記b の水溶液を海水1Lに1ccの割合で入れると1ppmの銅濃度になります。 100Lの水槽に100cc投入すれば1ppmだし、50cc投入すれば0.5ppmというわけ。
しかし、硫酸銅4gを溶かしているのにどうしてこれが1ppmになるのか、 理解に苦しみました。結論から言うと、硫酸銅は水に溶かすと銅イオンと硫酸イオンとに 分かれるのですが、病原虫退治に有効な銅イオン(銅濃度)の分子量は約1/4 なのだそうです。 よって、硫酸銅4gでいいというわけなのですね。
これでやっと納得しました。

硫酸銅投薬の方法
  1. 水槽の水量を基に計算し、必要な硫酸銅水溶液を用意します。
  2. 別の容器に水槽の水を適量取り、用意した水溶液を混ぜ合わせます。
  3. 水溶液が直接魚にふりかからないよう気をつけながら、ゆっくりポトポト落とします。
  4. 24時間おきに3〜4日投薬しますが、可能ならば1日量を12時間おきなどに分けて 投薬したほうがより効果的のようです。
  5. 白点が見えなくなったら、念のためもう一度投薬し様子を見ます。 1週間ほど経過して、白点が出なければ成功といえるでしょう。
本によっては、薬で大切なバクテリアも殺していて濾過能力が落ちているので、 治療中は給餌はしないようにと書かれていますが、我が家では適度にゴハンをあげます。 魚の体力が落ちないように、食べきれる量を少しだけ。

なわばり争い

それぞれ魚にはお気に入りの場所があります。
水槽内では、海の中のような危険はないにしても、やはり自分の身を隠せるところが必要です。 新入り君が来れば、先住の魚はがんばって自分の場所を守ろうとするし、 新入り君のほうが強ければ、先住の魚は他の場所へ移動しなければならず。 魚の世界はきびしいのです。
縄張り争いが起こり、数日たっても治まらない状態なら、ただちに行動です。 思い切って水槽のレイアウトを変更する、複数水槽があるならば魚の組み合わせを替えるなど。 もう少し様子を見て〜なんて言っていると、ケガ人(外傷を負う魚)が出ます。
シリキルリスズメとフタイロカエルウオ、ナンヨウハギとマクロスス、 我が家ではこの両者間でトラブルがありました。




nolanola World トップ