(2)1998年 イタリア(3/8)

Date
1998.4.28
Flight No.
CX507
Aircraft Type(Registration No.)
A330-342(B-HLG)
Route
KIX-HKG

1.KIX

関空の集合時間は16:00であったが、到着後何時間か時間が余ったので、関空 の中を探検することになった。が、昼食を食べないことには何もできないので、 食事場所を探すことにした。が、噂にも聞いていたように KIXは何でも高い(~_~)。 KIXは着陸料がただでさえ高い日本の空港でも更に高いといわれているが、 一般客が利用するものも高いのだ。 全国均一料金であるマクドナルドまでもが「KIX料金」と称して値上げしている。 これなら、羽田を出る前に食料を調達しておけば良かった。NH143の機内でお弁当 やおにぎりを食べるのもまたおつだったかもしれない。
文句ばかり言っていてもしょうがないのでマクドナルドで食事をする。 KIXのマクドナルドはやはり国際空港らしく、ドルで支払ができる。この点だけは 進んでいると感じた。
しかし、高い、高いと文句ばかり言っているKIXの商店街で最も感心するのはおみや げの充実度だろう。あらゆるところで飛行機関連のみやげものが見られるし、テレカ、 キーホルダーといった定番からお酒、果たしてはKIXまんじゅうまでKIXオリジナル商 品も充実している。NRTよりも買いたいと思う商品がぞくぞくである。私も帰国便の到 着後、KIXオリジナルの麻袋とキーホルダーを買った。キーホルダーは残念なことに どこかへいってしまったが、麻袋は気に入って愛用している。

NH143で私の隣にいた女性、実は連れがいたようである。関空でその女性と合流した。 うーん、やはり1人って珍しいか。

集合時刻になったのでカウンタに行く。今回のツアーは15名。GW時期のツアーという と、満席になりそうな気がするが最低催行人数ぎりぎりだった(;;;)。とにかく催行で きてよかった(^^;;)。南周りツアーはやっぱり人気がないのだろうか。

あるパックツアーの入門書には香港経由のヨーロッパやアメリカ経由のヨーロッパ (これは香港経由よりも探すのが大変だ)、ソウル経由のアメリカを「安いけど(確か に航空運賃は直行便よりも安い)とんでもないツアー」と痛烈に批判しているが、そ もそも求めているものや価値観は人によって違う訳であって、必ずしもそうとは言 えないのではないだろうか。確かに直行便は早いし、現地滞在時間も余計に取れる。 乗り継ぎ便は時間もかかるし、その分現地滞在時間は短い、疲労度が高い、これは 事実である。しかし、これはフライトor空港での滞在時間=退屈でしょうがない時間、 現地滞在時間=充実した時を過ごすための時間という価値観だからそう言えるのであ って、フライトや乗り継ぎのための時間も旅の一部と考えて、フライト時間=航空 旅行を楽しむ時間、空港での滞在時間=目的地とちょっと違った異国の空気を楽しむ 時間、現地滞在時間=勿論、充実した時を過ごすための時間という価値観に立てば、 乗り継ぎは必ずしも悪ではない。また、近年では長時間飛行機に乗るのはちょっと、 とは思っても、FFPのマイルが多く獲得できる、という理由から、わざわざ遠回りな ルートを選ぶ人達もいるのだ。こう考える人達にとってむしろ直行便は「便利で楽チ ンだけど、変化がなくてつまらないね」「遠回りできれば、もっと効率良くマイルが もらえるのに...もったいない」などということになる。
また、いろいろな航空会社や機種に乗ってみたいという希望のある人にとっても、 乗り継ぎ便ツアーは価値があるものである。マニアックなことかもしれないが、 顧客が考える「価値のある」ツアー(これが「良い」ツアーとなると、「価値のある」 ツアーの条件の他に係員の質や非常時の対応など普遍的、かつ基本的な条件が加わっ て来るので良いとは言えないが)の条件とは百人十色であって、そう簡単には1つに まとめられないのではないか。だから、直行便のツアーもあればいろいろなところ を経由するツアーもあって良い。まあ、確かに直行便を善と考える人が多いので、 この本の著者はそう言ったのであろうが。

添乗員が預け入れ荷物を集め、チェックイン。これらの荷物はローマまで預ってくれ るとのこと。ロンドンから他社便になるので、LHRで荷物を受け取って慌ててチェッ クインしなければならない、これで間に合うのかと心配もしたが、最後まで預 ってくれるとのことで、安心した。なお、添乗員がチェックインしている間、時刻表 が手に届くところにあったので、携帯用にしっかりといただいた。中身を見ると、ど うやらベトナム線の時刻が変更になったらしい。

また、機内持ち込み手荷物についての注意書きもいただく。香港で印刷されたもの だが、そのパンフを見ると「CX3335」と書かれている。搭乗券の半券(乗客用ではな い)にも「CXxxx(便名とは別。xxxは何って書いてあったか忘れた)」と小さく入って るし、CPAの封筒(後述)にも裏に小さく「CX 1970」などと書いてある。更に、食事 を運ぶカートまで「CX」だ(これも便名とは別)。「CX」というのはCPAと同様、キャ セイの略称(というか、IATAキャリアコード)であるが、変わった呼び名だ。通常なら 2文字で略せば(IATAキャリアコードは2文字略号。このことからよく2レターコード とも言われる)「CP」になりそうだが、これはカナディアン航空を指すので使えない (昔、カナディアン航空はカナダ太平洋航空だったようで、その頭文字はCPになる。 IATAキャリアコードは重複してはならない)。そこでこんな略号になったようだが、 「X」というのが個人的には強烈に思える。なんでXなんだろう???
(航空に感心のない人とか旅慣れてない人は間違ってしまいそう;;;) 最初キャセイの便名を聞いた時、「CXxxx」(一般には国際線の便名は頭にIATAキャリ アコードが付く。国内便は何故か3文字略号)便なんて変わった名前だと思ったが、 慣れてしまえば逆に親しみみたいなものを感じてしまった。 (アメリカンの「AA」とかユナイテッドの「UA」のようにはっきりしたものもあるけど。 最近ではコードが足りないといって数字まで登場している!) このIATAコード、航空券に書いてあるばかりか便名を始め、あちらこちらでエアライン の略称として航空会社内部はもとより(だからキャセイはカートに「CX」の文字を入れ たり、自社発行の資料の片隅に識別用の記号として入れている)、一般でも使われ出し ている。確かに簡潔だし、慣れれば便利なのだろう。

添乗員から今後の注意事項の説明を受けた後、出国手続きをして国際線ターミナル までモノレールで移動することになる。出国審査場はGW間近だというのに、がらが らすいている。NRTとは大違いだ。

搭乗ゲート付近にはCPAの宣伝用の看板が掛かっている。これは確か、香港からのス ムーズな乗り継ぎか何かを宣伝しているようであったが、緑地に白い筆で蛙と水蓮 の葉っぱが描かれている。この緑地に白い筆で何か書くというのはCPAの宣伝でよく 使われている(第一、ロゴがそうである。あれは正式にはブラッシュウイングというらし いが、はちどりみたいな形をしている。私は勝手にはちどりと決めつけていたが、実際は何の鳥 なんだろう?)。 緑地に白、というのは変わらないが、香港の新空港ができた時の宣伝は今度は筆でな くて、CPA機の尾翼と空港のターミナルビル、翼を広げて飛んでいる鳥が描かれている ものができた。あれはなかなか格好いいと思うが、KIXの蛙はなかなか可愛いかった。

機内に入ってみる。緑を基調とした配色で、CPAらしい。搭乗の時にBGMが流れるよう で、言葉では説明できないが、感じとしたら新宿の中央線快速の発車ベルのメロディ に似ている。とても落ち着くメロディだ。この音楽が頭にこびりついたせいか、新宿 の中央線の発車メロディを聞くとどうもCPAの機内を連想してしまう(;;;)。このB- HLG、JPによると95年に登録されたためか、比較的内装はきれいだ。

で、自分の席に座る。とはいってもこの席、実は搭乗券にある席ではなく、添乗員が くじ引きをして決めた席なのだ。そのことで、ちょっとトラブルが発生した。指定席 とは違う席に座ろうとしたので、ちょっとトラブったのだ。CAは「ツアーリーダを呼 んでくれ」と言ったので、添乗員が説明して一件落着。今回も非常にラッキーな通路 側である。どうも、CPA側の席の割り当てはそんなことは関係なく真ん中席になったり もしたが、添乗員の配慮で通路側を割り当ててくれた。これは今回の旅行のどのフラ イトでもそうだ。これは、CPAの割当だとグループがバラバラになってしまうので、 グループはできるだけひと塊にしようという配慮の賜である。それでくじ引きを行な った訳であるが、1人参加の人間(といっても私だけだが)はそんなことは関係ないの で、空いた席がくじを引かなくてもまわって来る。それが通路側なのだ。 とのことから、くじ引きの対象となる他の参加者はくじ引きで真ん中席になる人も 多かった。

離陸後、状況を見計らってフライトログの依頼を行なう。手の空いてそうなCAにメモ を差し出すと、日本人CAが出てきて、「今日は時間が短くて忙しいのでできるかどう かわかりませんが...」と言いつつも、受け取ってもらえた。

そのうち、機内食の時間になった。今日の機内食はシーフード釜飯と牛のヒレステー キとの選択である。ヒレステーキを選択したが、これが柔らかくなかなかおいしい。

オクラもついていたが、普段食べないオクラもチャレンジしてしまった。 その後、機内販売もしっかりまわってきた。まわって来る前からカタログでSprit of Hong Kong号のモデルがないかチェックしていた。もう香港返還は昔の話だし、モデル が売っていないことが心配だった。が、「限定版」としながらも在庫がある限り販売 するという。米ドルで26ドルなり。もうこれは買うしかない
とのことで、まわってきたCAに在庫はあるかと聞くと、見事にあった。で、早速購入。 箱もSprit of Hong Kong号の塗装がしてあるし、よくできている。

その後、日本人CAがフライトログを持ってきた。彼女の名前はAさんというらしい。 が、「こんな手帳に書くのは何なんですから...」とCPAの封筒を差し出した。中には CPAロゴ入りのメッセージカードが入っており、依頼したデータはそこに書き込まれて いた!しかし、もっとびっくりしたのはクルーが1人ずつ何らかのメッセージを寄せ ている点、しかも宛名まで書いてあった点だ。「時間がない」「忙しい」と言ってお きながら対応は完璧以上だ。今まで誰かが代表して何かを書いてくれたということは あったが、寄書きをしてもらったのは初めてである(^O^)。もうこれだけで感激もの だ。また、CPAにそのようなメッセージカードまであることにも驚かされた。この カードのデザインもなかなか品がいい。

またさらにびっくりは続く。しばらくするとA氏が席にやってきて、「飛行高度と か興味をお持ちでしたらコックピットへいらっしゃいませんか?クルーの方がどうぞ、 って言ってますよ。」とコックピット招待を受けてしまったのである(^O^)。いろ いろなソースから客室乗務員と交渉すればコックピットも見せてもらえるという ことを知ったので、是非見たかった。今までまだ1度もコックピットは見たこと はなかったので、今回は是非見たいと計画に入れていた。ただ、これは飛行時間が 短いと迷惑がかかるので、香港発着の長距離便で見ようと考えていた。

彼女は「シートベルトサインが消えて準備ができたらお呼びします」というので、 心待ちにしていた。が、どうやら気流の状態が悪く、とうとうベルトサインは香港 まで消えることはなかった。このことを彼女は気にしていたみたいで、「申し訳ご ざいません。気流の関係でお見せできなくて。また機会があれば、是非お見せした いです。」とお詫びの言葉が入った。非常に残念だが、これだけは仕方がない。 もう、この対応だけでも十分である。更に私はこの言葉に続いてこう答えた。
「いやぁ、お気持だけで十分です。これから251便でロンドンに向かいますが、その 中で見せて戴きますよ。」
彼女は「251便は長丁場ですからね。クルーの方々もきっと暇だと思うので、是非 声をかけてやってください。歓迎してくれると思いますよ。」こう答えた。こんな フライトなら是非乗ってみたい。

更に着陸間際、チーフパーサであるB氏が席のところにやってくる。
「ハァーイ、あら、松本さん?(この席は元は松本さんだったのか)」
「いや、Aです。」
「あっ、Aさん?メッセージカード、見た?私はBよ。Nice to meet you ね。」
こんな感じの挨拶があった。もう、これには度肝を抜かれた。急なことだったので、 何も言葉が出なかった。素晴らしい。フレンドリー、そして肩肘張っていないのだ。 あのメッセージカードも彼女が精力的になってデザインしていたし、こういう姿を 見ると楽しそうに仕事をしている感じがうかがえる。彼女ともっと話をしたかったが、 時間がないのと言葉が出なかったことが非常に悔やまれる。是非、またB氏の乗務 する便に搭乗したい。

私の席は通路側だったこと、夜間だったことから香港カーブだったかどうかはよく わからなかった。ただ、僅かに見える窓からの景色は100万ドルの夜景そのもの で、宝石を散りばめたようにきれいだった。夜行便は不便なこともあるが、こうし た景色を楽しめるというメリットもあるのだ。

お世話になったクルーに挨拶をして飛行機を降りる。亜熱帯の蒸し暑い香港の空気と 啓徳の黄色と黒を基調とした表示、そしてお香臭さが私たちを歓迎してくれた。


航空旅行記目次
(2)1998年 イタリア(2/8)
(2)1998年 イタリア(4/8)