(2)1998年 イタリア(4/8)

Date
1998.4.28
Flight No.
CX251
Aircraft Type(Registration No.)
B747-467(B-HOZ)
Route
HKG-LHR

1.HKG

CX507で香港に到着した私達はそのまま出発ロビーのある2階へ行くことになる。 セキュリティチェックへたどり着いたが、妙に混雑している。それに空港自体 古くて狭い為か、よけい混んでいるように思える。それに、熱気みたいなものも あって、ただでさえ蒸し暑い香港なのに余計蒸し暑い。CX507のフライトログに 香港の気温が27℃とあったから、暑いのも無理はない。

セキュリティチェックに使う機械もだいぶ使い込んでいそうだ。昔からあるタイ プのよう。もうすぐ廃港ということで新しい機械は入れていないのだろう。 2階まではこれがまた狭い階段を昇る。まるで小さなビルにある階段のようだ。

手続きが終ると例のごとく席決めのくじ引きを行い(^^;)、搭乗時刻まで自由時 間となった。私の記憶が正しければこんな夜遅くに啓徳の出発ロビーで時を過 ごすのは初めてだ。前によく買物をした免税店もそのままだ。非常に懐かしい。 免税店では香港返還の時の売れ残りと思われるTシャツが売られていた。 母からビャクダンの扇子を頼まれていたが、なかなかものが見つからない。それ 以外は特に買いたいと思うものはなかった。私達が日本人と見てか、免税店から はお酒orタバコを買うとお土産が貰えるサービス券をもらったが、特にそんなも のは買いたいとは思わない。それに第一、香港ドルを持ってないし、日本円や米 ドルで買物をしようと思っても、いくらになるのか計算するのも面倒だ。特に 買いたいものがある訳ではない。

最初で最後の啓徳の夜を満喫しようとあちらこちらを歩き廻る。これで最後とい うこともあるので啓徳の写真を撮っておきたいが、人目がはばかれる。夜だから シャッターを焚かないと写らないだろうし、警備員に不審がられたらどうしよう。 とのことで、なかなか撮れなかった。しかも購入した使い捨てカメラの調子が良 くなく、1度シャッターを焚いたらシャッターがつきっぱなしなのである。あと、 現地でどれくらいフィルムを使うか検討もつかないので、そうそう撮る訳にはい かない。このカメラ、お買い得だったのでこれにしたが、もう2度と撮れないこ とを考えたら、多少高くても昔からある製品にすれば良かった。また、もっとた くさんカメラを買っておくべきだった。

搭乗機もとりあえずは撮影したが何せ夜間である。ゲートのガラス越しで使い捨て カメラでは写る訳がない。この搭乗機、B-HOZはCPAの昔からある塗装で、私の気に 入っている塗装である。10年程前に香港にきた時も機種こそは違っても(B-HOZは 747-400だが、当時は747-400などなかった)、CPAのこの色のジャンボだ。そういう 意味でもCPAの旧塗装のジャンボは思い出もあるのである。しかもこの塗装の飛行機、 ブラッシュウイングの塗装に変わりつつあり、次々と姿を消している。だから「撮 らなくちゃ」なのだ。この塗装の写真は(本の写真でも)手に入れたいと思う。 模型があれば買いたいと思うが、この塗装のモデルも見つからない。
ブラッシュウイングのモデルは結構あるのにね。でも、今後はこれがCPAのカラーな のだから仕方がない。あとは記念に搭乗ゲートの写真を収めた。

搭乗開始時刻になる。HKGでは沖止めの飛行機にバスで移動という形が多いようで あるが、今回はボーディングゲートからの搭乗。あまりにもの行列なのですぐに は並ばず、しばらく様子をみていたが、そうとばかりは言っていられないので、 状態をみて列に加わる。搭乗口でごちゃごちゃやっていると思ったら、何やらパス ポートのチェックを行っている。チェックインの時に既にパスポートのチェックは 行っていたので必要のないことのように思えるし実際、他の便でも行っていないが、 ゲートでもチェックすることからかなり厳密である。パスポートのチェックが終る と、ゲートの係員は「CX」と入ったスタンプを搭乗券に押してパスポートと搭乗券 の半券を返してくれる。

2.機内

搭乗して自分の席に着くと、上着を頭の上の棚にしまう。この搭乗機、B-HOZはJP によると92年に製造されたものらしく、内装もCX507のB-HLG(95年製)に比べ、使 っている、という感じがする。今、CPAが最も力を入れていることの1つであるエ コノミークラス全席へのパーソナルモニタの設置もまだだ。きっと、今度の整備か 何かの時にブラッシュウイング塗装に塗り換えて、内装もきれいにしてモニタの 取り付けを行うのだろう。まあ、パーソナルモニタはあれば便利(好きな時に好き な番組が選べる)だが、別になくても不自由はしない。

ツアーの面子が全員席に着くと、添乗員がやってきて「到着後は結構ハードスケジ ュールなので寝た方が良いですよ。うるさくて眠れないといけないので、耳栓をお 持ちしました。」と入って耳栓を配っている。とりあえず貰った。よく見るとCPAか らのサービス。あの深緑の小箱に入っている。CPAもまめなサービスをする(^o^)。 が、どうも興奮して眠るどころではない。考えてみたら、香港時間の0時、日本時 間では夜中の1時。普通の日本人はとっくに寝ている時間だ。で到着はロンドン時 間の朝の5時20分。時間だけをみると夜から朝というだけのように見えるが、日 本時間では翌日の昼の13時過ぎだ。徹夜は仕事の都合で、あるいは何度もしてい るが、その前にあちこち動き廻っている。眠らないときつい訳だ。若い人、体力の ある人でないときついだろう。だが、逆に人に迷惑がかからない、機内で熟睡でき る人間にとっては絶好の充電タイムが14時間もあるということになる。

前のポケットには深緑に赤い筋の入った小さいポーチが入っている。中身を見ると 靴下、歯ブラシ、アイマスク、櫛が入っている。いずれもCPAの緑、もしくは緑と 赤を基調とした配色。しっかりCPAを主張している。CPAは香港発着の長距離便では エコノミーでもアメニティグッズを配るという話は聞いていたので、欲しいなとは 思っていたが、エコノミーということを考えたらこんなに立派なものだ。このキッ トがこの旅行の中で、思わぬところで大活躍することになる(^O^;;;)。
また、CX251のアメニティキットの入っていた例のポーチは携帯電話を入れるのに ちょうどいい大きさであり、デザインもなかなかいいので、帰国後は携帯電話入れ として活躍している(^o^)。

註:筆者の最近の携帯入れは手製の袋で、このポーチは現在使用していない。

離陸前に例のごとく安全設備の説明があるが、これはどこも変わらず英語で説明、 中国語の字幕、そして何と日本語の字幕がある!全然日本と関係ないのに! 機内誌も便に関係なく日本語のページがあるし、如何にCPAが日本人をマーケット として重視しているか、ということの現れである。気が着いたら離陸。眼下に百 万ドルの夜景が広がっていた。こうして見ると実にきれいだ。

離陸後、ドリンクサービスがあったが。ドリンクサービスの時、ピーナツが配られ たがこれは香港製。日本便では日本の業者が作ったものが配られたが。

私の斜め前にはイギリス人だか白人系の男性が座っていたが、アルコールを頼んだ (ちょっとここははっきりしないが)はいいが、飲んだ後のプラスチックのコップを 通路に捨てたか落したかしてそのままなのである。CAがコップを回収するまで手持 ちぶさたにしているのはわかるが、通路にポイ、はないだろう。もしかしたら酔っ 払ったか疲れたかして、コップを落したのに気づかなかった、ということも考えら れるが、そうには見えなかった。東京ディズニーランドが園内の美化をはかるのに、 罰則を作るのではなく、ゴミを捨てた人が入るとすぐにそれを掃き取ってしまう。 それは、人間の心理としてきれいなところを汚すのは気がとがめるが、汚いところ は自分だけが汚してもわかりはしない、と安心して汚してしまう、という性質が あるからだ、という話を東京ディズニーランドの開園時に聞いたことがある。この B-HOZ、確かに少し薄汚れていたし、落してそのままにしておけばCAが拾ってくれ るとはいうが、だからといってCA達の仕事を増やすこともない。

食事の時間になった。今度は長距離便とあって、3種類からの選択。おいしいので あるが夕食をCX507で食べてしまったし、そうお腹がすくものでもない。残念なこ とだ。機内食の中にレモンのタルトがあったが、これが甘ったるくてしょうがない。 お腹がすいている時に食べればおいしいのに、タイミングが悪い。CPAのヨーロッパ 便(というか、夜行の長距離便)で食事を味わおうと思ったら、行きは午後便で香港 入りするなら到着後は1日ストップオーバーするか、空港での待ち時間は延びても 午前便で香港に入って夕食は抜いた方がいい(乗ったことはないが)。
その後、軽食のサービスもあったらしいが、食べそびれてしまった。

今回は夜行便とのことでクルーの方はお休みになる。何か要望があれば呼び出す、 という形を取る。免税品についてもクルーに申しでて購入、という形を取る。クル ーが休憩に入る頃を見計らってギャレーに行き、フライトログと初のコックピット 見学の依頼をシンガポール人CAであるC氏に行う。メモを見せると、彼はすぐ 了承して下さった。これで安心して休憩に入れる(^o^)。こっちも毛布を体に巻き 付けて休むことにする。が、疲れてはいても体と心が興奮状態で眠れない。寝るの がもったいないみたいな感じがする。それにジェットエンジンの音がうるさいのだ。 耳栓をしようとも思ったが、どうもする気にはならないし、それにコックピット見 学の許可が降りた時に眠っていた為にチャンスを逃したら泣くに泣けない。ここは 頑張って起きていることにした。半分眠った状態と起きた状態を繰り返し、朦朧としていた。

またこの日は新人の教育か何かよくわからないが1人の男性が後部非常口のジャン プシートで何やら資料らしきものを読んでいる。そしてこのフライトの間、ずっと この席だった。一体何者だろう。着ているシャツは白地に赤と緑のストライプが入 った、男性CAが着ているシャツと同じようなものだった。

こうして乗員、乗客が休んでいる間も一部のCAは乗客の要望に答えている他にも、 例の赤いスーツを着て機内を見回っている。彼女達はとにかくよく働く。この姿は 私にとっては非常に好感を与えるものであった。時々、最後尾のトイレ近くにある 階段からCA達が出入りしている姿が見える。

明け方近くなって空が桃色がかってくる。地上で見る夜明けと違った感じもあるし、 それが実に美しい。その中で、主翼の先端の照明が光っている。こういう景色が 見られるのも国際線ならではである。夜明けである上、空調が効いているためか、 肌寒い。

しばらくするとC氏がコックピット見学の許可が降りたとのことで、呼びに くる。これで私の目がバチリと覚めた。彼に連れられ2階席へ。今回は私の他に ビジネスクラスの女性3人組も見学を希望しているとのことで、一緒に見学する ことになった。どうやらこの3人組、友達同士のようで、雰囲気からすると香港 人らしい。

で、初めてのコックピットに入る。コックピットは狭くなければ全ての計器に注 意が行き届かないが、それにしても狭い:-。私とCクラスの3人組、C氏が入 ったら満杯になってしまった。初めて見る計器群、そしてそれが暗闇の中で光って いるのに圧倒されてしまった。しかも朝焼けの空は非常に澄んでいて、それがど こまでも続いている。眼下にある雲は紫がかっていて、これが説明できないくらい きれいだ。客室で見る朝焼けとまた一味違う。

機長は一通りの計器の説明を行い、目の前にあるEHSI(Electric Horizontal Situ- ation Indicator:飛行航路や機首方位などの情報が表示できるCRTディスプレイ)の 説明を始めた。このマークは自機でこれからどの方向へ飛行するか、画面切替えが できること、この先には別の飛行機が飛んでいること、更に気象レーダーの映像も 重ね合わせて「この赤い部分は気象状態の非常に悪いところだから、この部分を避 けて飛行するんだ」とか。このEHSI、見たところは必要な情報は図にして1つにま とめる、パイロットのニーズによっていらないものは見せないようにする、といっ たようにしており、分かりやすそうだ。よくできている。
「じゃあ、この赤い部分に飛行機が入ったら、一気にドスン(と墜落)、ですね。」
例の3人組のうちの1人が答えた。をいをい、そんなことじゃみんな死んじゃう ぞ(;;;)。わざわざそんな危険なところへは入らないし、そう簡単に壊れるもので はない。

次は黙々と通信を続けるコパイを指して、「今、彼はポジションレポート中」と 説明があった。日本−ヨーロッパ線ではシベリア大陸に入ってしまうとポジション レポートをしなくなる、という話を聞いたことがあるが、少なくとも香港−ヨーロ ッパ、少なくともロンドン線ではポジションレポートを行っているようだ。ポジシ ョンレポートというと、VHF通信が使えないような洋上や砂漠などの上空を飛ぶ時 に使われると聞いたことがあるが、香港-ヨーロッパ線でもそのような地域がある のか。もしかしたら、たまたまその空域を飛んでいただけかもしれないが。

でも、例の3人組、結構なおしゃべりで次から次へと話がでてくる。人数が多いの はこういう時に強みだ。これでは私のでる幕がない。機長はこの3人に対し、「ロ ンドンへは観光で行くの?」などと聞いていたが。まあ、相手は英語もペラペラだ し、自分はチャンスを伺って質問するのと相手の説明を聞くのが精一杯だった。

最後に写真撮影の許可を求めたが、あえなく却下。たまたまこの便がダメだったの かと思って、帰国便でも聞いてみたが、やはりダメ。他の人がコックピット見学の 際、やはり許可が降りなかったことをみると、CPAではコックピットの写真撮影は禁 止しているようだ。見せてもらえただけでも非常にありがたい話だが。

補足:99年7月のANAハイジャック事件以来、日系航空会社では一切のコックピット 見学を禁止しています。なお、9.11以降は、日本も含めた世界中の多くの航空会社で 乗客のコックピット見学は禁止しているらしいです。

席に戻るともうすぐ朝食の準備が始まる。C氏は私を意識してか通りかかった 時、何か声をかけてくれたが良く聞き取れず、とんちんかんなことを言ってしまっ た。何を言っていたのかよくわからなかったので、後で聞いてみると「コックピッ トは楽しんできた?」。なかなかのフォローである。それから、飲物を持ってきた 時の彼の微笑みも他の客とはどこか違う。C氏にログの方はどうなっているか、 とフォローすると「今、コックピットクルーに回ってます」。

食事はオムレツと中華風焼きそば(?)からの選択。朝食にしてはなかなかの内容。 中華風焼きそばはどうも食べる気がしなかったので、オムレツにした。匂いが 鼻につくかと思ったが、そんな感じはしなかった。

朝食が終るとロンドン到着はもう間近である。みんな同じことを考えているらしく、 前後のトイレにはいつも2−3人の行列が途絶えない。自分もトイレに行こうと思 ったが、いつになっても空きそうにないので、LHRまで我慢しよう。自分の場合は 我慢できない程のものでもないし。

着陸への段階に入り、ヘッドホンの回収が始まったが、CA達はなぜかみんな慌てて いる。何かで時間が足りなかったに違いない。C氏が慌ててフライトログを持 ってきた。一応お礼は言ったものの、きちんとした形で言えなかったのが残念だ。 とにかく慌てている。そうしている間にLHR到着。こうして14時間近いフライトは 終った。

降機の際、クルー達にお礼を言って搭乗機B-HOZを後にした。LHRは「マニア用の」 展望デッキがあるとか、航空マニアのメッカみたいな空港とかいろいろ言われて いるが、今回は乗り継ぎの為の利用であり、乗り継ぎ時間も限られているのでそう 楽しめるものではないのが残念だ。今度は目的地としてLHRに行って、このメッカを 十分に楽しみたいと思う。


航空旅行記目次
(2)1998年 イタリア(3/8)
(2)1998年 イタリア(5/8)