(2)1998年 イタリア(5/8)

Date
1998.4.29
Flight No.
BA560
Aircraft Type(Registration No.)
B757-236(G-CPEM)
Route
LHR-FCO

1.LHR

今回の旅行で「棚ぼた」で乗ることになったブリティッシュ・エアウェイズ (BAW/BA)。
LHR到着後はCPAの到着ターミナルである第3ターミナルから第2ターミナルへ 移動することになる。しかし、LHRはめちゃくちゃ広い。とにかく広い。添乗員も どうも勝手が分からないらしく、歩いて行く人の列について行ったり、係員に聞い てやっとのことでターミナル移動のバスにたどりつく。添乗員も急の乗り継ぎで頭 に入っていなかったのだろう。朝の5時過ぎということもあって、とにかく肌寒い。

第2ターミナルのBAWカウンタにたどり着くと早速チェックイン。朝早いせいか、 カウンタもお店も閉まっているのが多い。チェックインの間暇を持て余した私は 何気なく乗り入れ航空会社のリストを眺めていると、第3ターミナル乗り入れの はずのCPAが第2ターミナルにも出ているのを見つけた。これは?とも思ったが、 時刻表をみるとこの謎が解けた。便名こそはCXというコードが付いているが、実 はブリティッシュ・ミッドランド航空(BMA)とのコードシェア便になっている。(*) これはロンドンからイギリス各地への乗り継ぎ用。

(*):oneworld会員である現在では、欧州内のCXコードシェア便は 全てBAW運航になっている。

チェックインを終え配布された搭乗券を見ると、何と1人ずつデザインが違う。 書いてある内容は違いはないが、地の模様がみんな違う。BAWは97年にワールド デザインとのことで、所有機の尾翼にBAWがいいと思った世界中のアーチストの 作品を描くということをやっているが、この活動の一貫としてやっているのだ ろう。この企画はBAWが単純にイギリスの航空会社としてでなく、「世界の」航 空会社である、たまたま拠点がイギリスであるだけだということをアピールす るものらしいが、この姿勢は日本の航空会社も見習って欲しいような気がする。 JALやANAなど国際便の非日本人の搭乗割合がどのくらいか、非日本人のJALや ANAなどに対する評価はどんなものか知らないが、興味深いものだ。
日本人に気に入られるのも大切だが、それだけでは取り残されそうな感じもあ ろう。

また尾翼の色や搭乗券のデザインを違うものにすることによって、旅客の話題作 りに寄与することは間違いないだろう。空港でBAWの飛行機を目にした時、「今度 はどの飛行機に乗るのかな?梅かな?桜かな?(実際にはないが)」。これまでは レジとかそういうものに関心のある一部のマニアしか興味のなかったものを、一 般客にまで広める効果がある。機材への関心を高めることは飛行機に乗る楽しみ を増やすことにつながるだろう。この点でのBAWの姿勢は評価できる。BAWがこの 塗装機を出すことで、これまでトラフィックは多いけど、乗り入れ航空会社は多 いけど、BAWとBMDばかりでちょっとつまんないと思われたLHRに対するスポッター の楽しみ&悲鳴(?)が急激に増えたという。塗装が急激に増えたので、被写体が充実 したのだ。

ゲートにちょっと小振りの飛行機が止まっていた。今回の搭乗機G-CPEMはこの ワールドデザインでない、旧塗装の飛行機である。朝早い便か、乗客はそんなには いない。僅かな時間を利用してこの飛行機を撮影した。搭乗開始。搭乗券自体は他 の航空会社同様、切り離し線はあったがそれを切り離すのではなく、搭乗手続きは 搭乗券のポケットにはさまっている航空券を引き抜くという方式。いろいろなやり 方があるものである。

2.機内

G-CPEMはナロウボディーのB757である。この飛行機、日本ではCMI(コンチネンタル・ ミクロネシア航空)のNRT以外発着のグアム便と名古屋-サイパン便、RNA(ロイヤルネ パール航空)のKIX-上海/カトマンズ線が利用しているみたいだが、これらの便が出 てくる前は757は日本では見られなかったようであるし、NRTを利用することの多い 関東人にとっても珍しい飛行機である。しかも見るだけでなく、搭乗できるのだから。 CPAのスケジュール変更は更に大きな「棚ボタ」を落すことになった。
飛行機に乗る機会が限られている私にとっては、初めてのナロウボディー機である。 すごく新鮮な感じがする。印象とすれば、小じんまりとしていて落ち着く。でも満席 でしかもサービス中だったりしたらトイレに行きにくそう。

この便は客数が少ないかCAも比較的のんびりしている。上空にあがると用ができそう なので今のうちにフライトログをお願いしよう。メモをみると「勿論」とのことで 了承してもらえた。この便のCAはイギリス人の他、イタリア人もいるよう。 鼻が高くて金髪だったりブロンズだったり、顔の彫りが深かったり、西洋人の作りを している。雰囲気もイギリスらしく紳士・淑女の香りがする。
が、この様子を見ていた添乗員。「どうなさったのですか?」と尋ねる。事情を説明 すると「意外と多いのですよ。そのような方。」と理解を示してくれた。これで私が 航空ファンであることが添乗員にわかってしまった。しかも、行きの便で「Sprit of Hong Kong」号の模型を買ったこと、他にも飛行機が好きだということを宣伝してしま ったので、そのためか帰りのCX506では添乗員からも「ちょっとおいしい」思いをいた だくことになる。

CX251でもLHRのターミナルビルでもトイレに行けなかった私はやっとトイレにあり つけた。まず、化粧直しのと用足しである。が、肘が石鹸の積んである皿にぶつか り、床に石鹸をばらまいてしまった(;;;;;)。これは焦った。結局石鹸は使いものに ならず、これは申し訳ないことをした。この前の AA128の枕事件といい、ドジばかりしている。
で、このことをCAに正直に言って対処してもらわないと他の乗客に迷惑がかかる。 で、慌ててCAに話をするが石鹸はsoapだとわかっても、とっさに言葉が出てこない。 でも状況は理解してくれて石鹸の入れ換えはしてもらった。BA560の乗員&乗客の みなさん、ごめんなさい(;;;)。

用が終ってドアを閉めたが、もうすぐ非常設備の説明が始まるというので確認を怠っ たみたいか、うまくロックがかからかったみたいだ。
そのうちにフライトログが戻って来る。いくらすいているとはいえ、随分速い。

非常設備の説明が始まる。この飛行機にはビデオ設備がないようで、CAが実際にデ モを行う。内容はいつもと同じ内容だが、デモを見て気づいたのがライフジャケッ トにデモ用のものがあるということである。シートベルトや酸素マスクについては デモ用に必要な部分を切り離したものを用意しているみたいだが、ライフジャケッ トについてはデモ用としてメーカーが用意しているらしい。本物のジャケットを膨 らませなければいいのだろうが、間違って膨らませたりすると与圧で破裂してしま いそう。したがってこのようなものを用意しているようだ。ジャケットには「デモ 用」としっかり書いてある。

離陸後の上昇の角度はかなりあったみたいで、問題のトイレのドアが開いてしまっ た(;;;)。きちんと確認しなかった私も私だが、そう気を使わなくてもきちんと閉ま るようにはできないのだろうか。かなり恥ずかしかった。

水平飛行に入った頃機内食が配られた。私の好きなシリアルだ(^o^)。CX251できちん と朝食は食べてきたものの、食べられるものはしっかり食べてしまった。でも2時間 半たらずの短距離線のためか、メニューがない。記念に持ち帰りたかったが、これは 残念だ。また、機内誌を探してもそれらしきものも見当たらない。どうも普通の雑誌 みたいな刷丁で、機内誌には見えなかった。もしかしたらその雑誌だったかもしれな い。それなら持ち帰りOKのものは全て持って来れば良かった。

それからこの搭乗機、きちんと機内販売もあるみたいで、ツアーメンバーの男性はテ ディベアを買っていた。私自身は?特に買うものがなかった。

その後は添乗員と雑談したり、現地到着後のオプショナルツアーの申込をどうするか 考えていたりしていた。フライトログによると、飛行ルートはパリ、ジュネーブ、ト リノ上空を飛び、飛行高度は37000ftという。アルプス上空も飛んだようで、雲の間 からアルプスの山並がくっきり見える。

こんなのんびりした時間もあっという間に過ぎ、FCO着陸も間近だ。まわりの様子も あわただしくなり、これからイタリアに入るということで体も心も緊張してくる。 そしてFCOに到着。羽田から30時間の空の旅はさまざまな思い出を残して終った。

3.FCO

到着後はバスで入国審査場へ移動となる。ロンドンと違って、南の太陽がまぶしく、 しかも暑い。でも香港と違い、サラッとした暑さだ。バスの中からアリタリア(AZA) のバッチチョコ塗装機(I-DEMF)を見つけて「へーっ、これが噂のチョコレート飛行機かぁ」 などと感心したり、珍しい風景にみとれているうちに到着。入国審査そのものは添 乗員がいたおかげで非常に簡単なものだったが、問題はその後発生した。しかも、 このために私達は2−3日、非常に不便&不快な思いをすることになる。

補足:I-DEMFのチョコレート塗装は終了し、今はAZAのノーマル塗装に 戻ったようです。

入国審査を終えた私達はBA560のベルトコンベアのところに行き、荷物が出てくるの を待った。そろそろかな、そろそろかな、じっと待ってても他の客のは出てきても 私達のツアーの荷物は何も出てこない(;;;)。やられた!ロストバッゲージだ! LHRのような大空港での乗り継ぎではロストバッゲージになりやすいということ、そ してBAWはロストバッゲージが多いという噂(本当かなぁ)を聞いていたが、まさか自 分達がこのような目に遭うとは思ってもみなかった。
で、早速添乗員はバッゲージクレームへ行き、抗議と調査を依頼する。ロストバッゲ ージになったのは私達だけでなく、何人もの人が抗議をする。迎えに来ていた現地 旅行会社のガイドも焦っている。で、調査の結果はLHRまでは荷物は順調に流れたも のの、BAWの方で便に積み忘れた荷物が60個ほどあってその中に私達の荷物がある、 とのこと。荷物はすぐ届くものではないので、宿泊先のホテルまで届けてくれるとの こと。

税関については人間だけの通過で、荷物についてはあとで別に税関を通す簡易 通関ということになる。パスポートを見せ、スーツケースの鍵をバッゲージクレー ムの係員に預け、代表が簡易通関のための書類に記入する。そして係員に荷物の特徴 を説明し、手続きが終るが、ここまでの時間、約2時間ばかりかかってしまった。

私達のツアーはフィレンツェに2泊、ローマに2泊したが、今日の夜にはお届けしま す、といっても来ない。その次は、といってもなかなか来ない。で私達はずっと着た きり雀で過ごさなければならなかった。そんな時、CX251で貰ったアメニティキットが 大活躍し、靴下は替えとして(さすがに出発時から3日も同じ靴下を履くのは臭いし、 気持悪い)、櫛は髪をとかすのに役立った。歯ブラシ&歯磨きはホテルにあったので 使わなかったと思ったが、それがホテルになかったら歯磨きまでもこのキットのお世 話になったと思う。こんな時、このキットのありがたみを実感してしまった。

フィレンツェ観光中はみんな、荷物がいつ届くが気になり、ツアーメイトの挨拶はと いうと、いつも「荷物、早く届くと良いですね」:-。2日目にフィレンツェ郊外にあ るプラダのアウトレットショップに行ったが、朝早かったためか、みんな寒がってい た。この日は雨も降ったが、このためか風邪をひきそうになった人さえいた。

結局荷物はフィレンツェ最後の夜の24時(5/1の0時)に到着した。荷物のタグには通 常のバッゲージタグの他、FCOのタグがついており、「Rush」などと書いてある(Rush、 といっても全然Rushでないぞ > FCO)。私の荷物には何も被害がなかったが、悲惨な のは添乗員である。彼女は税関の人にスーツケースの暗証番号を変えられたため、い つもの番号が使えず、スーツケースを開けるために000から999まで1つずつ番号を 試さなければならなかった(`_`)そうである。この件について、私達が主張しなかった からか、航空会社からの補償はなかった。珍しいタグが集まったとか、寒かった、ひ もじかったけどなかなかの思い出だったね、という感想も私自身にはあるが、これは すごく迷惑な話である(完璧になくなるよりはずっとましだが)。

まず、荷物をBAWが積み忘れた話も問題だが、このような事態が起きた時にもっと迅 速な対応が取れなかったのか?添乗員はイタリア人は仕事よりも人生いかに楽しく 過ごすかを考える人種だ。時間にルーズなのは困ったもんだ、とは言うが、それだけ で片付く問題とは思えない。有事の際のこのような対応は絶対に空港なり航空会社の イメージを悪くする。クルーを始め、整備士が折角安全運航のために日夜努力したり、 質の高いサービスを提供しても、安くて便利な航空券を販売しても、空港がいくら設 備の良くして使いやすくしても、ぶち壊しになってしまう。また、場合によっては、 この会社はいい加減ではないか、という評価をされかねない。BAWは品質管理も努力し ているようなので、いい加減ということはないだろうが、もしこういう現象が頻発 しているのであれば、この手の現象の削減と発生時の迅速な対応にも努力してもらい たい(これは他の航空会社にも言える)。

それから今回の件で得た教訓。
「ロストバッゲージは誰でも起こり得る。特に乗り継ぎが絡む時は、注意しましょう。
そして、(特に飛行機を乗り継ぐ予定の人は)1日分くらいの着替えを機内に持ち込み ましょう」
(でも、なかなか実行できないんだよねぇ)。
「なくなって困るものは旅行には持っていかないようにしましょう」


航空旅行記目次
(2)1998年 イタリア(4/8)
(2)1998年 イタリア(6/8)