2001年 シンガポール(2/8)

Date
2001.8.6
Flight No.
CX505
Aircraft Type(Registration No.)
B747-467(B-HUD)
Route
NRT-HKG

ギリギリまでキャンセルが懸念されていたフライトも無事行われる運びとなった。ここ7月から8月にかけては自分の作業がぎっしり詰まっており、毎日朝から夜遅くまで働いていた。休出も何度かあったので、ろくに準備の時間も取れなかった。
事前の調整で8/6以降は予定通り休暇が貰えることにはなったものの、また、ここのところの頑張りで8/5までのノルマは何とか達成できたものの、別の対応のために何人かのメンバに休出をお願いしてしまっている。8/10の話が出る前に入れてしまった予定、そしてノルマも達成したとはいえ、このような状況下で旅行に出るのは心苦しいものがある。

今回のNRT行きは格安ルート、小田急急行+山手+京成特急で行くことになった。
18:30出発であれば前から考えていた成田山参拝もできるだろうが、毎日の仕事で疲れていたこともあるし、HKGで5時間近く時間を潰すことを考えると徹夜になるだろう。こうなると体力の消耗はなるべく控えるようにしなければなるまい。それに、いろいろと面倒を見てもらっている親も私のここのところの夜遅い帰宅や休出で疲労が溜っているに違いない。となれば、そう早い出発はできない。

家を出るのは11時にしていた。前回とは異なり、時間的には十分余裕がある。しかし、前日まで忙しい日々が続いていたためか、朝起きてから出発まで時間に余裕があるといっても、すぐに時間が経ってしまう。
昼食の時間としては早いが、本厚木に新しくできた「めしや丼」で食事をしていこう。いくら機内食が出るといっても、夜中の3時までもつかわからないし、CX2073ではリフレッシュメントが出る、とは聞いていたが、リフレッシュメントというからには、たいしたものは食べられないに違いない。サンドイッチとか、パン1〜2個と飲物といった軽食だと思う。絶対におなかがすきそうだ。できるだけ腹持ちのいい、こってりしたものを食べておく必要がある。それに、この「めしや丼」、定食類はご飯のおかわりが自由、というところがありがたい。自分の食べたカルビ定食は630円だった。本厚木にはこのようなリーズナブルなレストランが多いので便利だ。

この日はまだ世の中が休みに入っていないためか、サラリーマンが何人か食事にきていた。

日暮里の京成線連絡口周辺には例のごとく、海外へ向かうビジネスマン/観光客がたむろしている。京成自体はNRT利用者専用の路線ではないが、スカイライナーもあるし、ここはいつ行っても独特の雰囲気のある場所だ。
ホームに行くと、海外渡航者がかなり幅を効かせている。

1時間強の電車の旅を終え、T1のある成田空港駅に到着。(確か)15:30頃に到着したから、早く着き過ぎた。別の場所、例えば航空博物館に足を伸ばすには時間が足りないし、中途半端な時間である。とはいえ、今回はHKGで"野営"するための飲料水と食糧をgetする必要がある。出発ロビーへ向かいながら、コンビニなどを覗くことになる。

まず、空港駅の改札を出ようとしたところ、スタンプ台を見つけた。これは京成が夏休み時期にやっているスタンプラリーのようで、説明を見ると、参加者は1日乗車券(かな?)、スタンプ帳を購入し、各駅にあるスタンプを押すと共に、各駅で出題されるクイズに答えながらNRTを目指す、というもの。そのゴール地点がこの成田空港駅だという。クイズの正解状況などに応じて景品をくれるようだ。夏休み時期になると私鉄各社でこのようなスタンプラリーはよく行われるようである。NRT最後のクイズの問題は

海外に出る時に必要になるものは次の3つのうちどれか。

  1. 定期券
  2. パスポート
  3. 乗車券

であった。成田という場所を反映した問題である。これはもう即答だと思うが、子供にとっては常識ではないのだろうか。

空港駅近くのコンビニに入った。食糧を買う、といっても、暑い中、長時間寝かせることになる訳で、傷みやすいものを買うことはできない。それに、お腹も空いていないので何を買いたいかわからない。また、あまり量が多いと持ち歩くのに邪魔になる。「バリューシリーズ」ということで、100円で買えるお菓子類があった。その中に醤油煎餅があるので、これが妥当かな、とも思ったが、恐らく食べ切れないだろう。他のコンビニも覗いて決めることにした。

出発ホールへは何回かエスカレーターを乗り継いで行くことになる。その途中、NRT 近辺の小学生の書道と絵画の展示があった。受け付けは一応はあるが、誰も気に止める人などいないようである。時間もあるので、ここで少し道草を食って行くことにした。

説明を見ると、この展示はNRT近辺の小学生の書や絵画のうち、優秀な作品を集めたものだという。この書や絵画にもテーマがあるようで、空港らしく飛行機や旅となっている。書はあまり興味なかったが、絵画はなかなか面白く見せていただいた。
絵画については1,2年、3,4年、5,6年とでカテゴリ分けされ、金、銀、佳作と賞が出されている。描かれているものはどれもNRTを発着する飛行機だ。子供の絵は大人のような細かい描写はないが、夢や思いをストレートに描いていて、大人の絵とは違った良さがあるが、これらの絵にもそれは十分にある。また、今回のNRTの絵に限らず子供の絵全体でいえる話だが、低学年の描く絵は線は雑なものの、夢や思いがストレートに出ているのに対し、高学年になると描写的要素が強くなってくる。5,6年になるとかなりしっかりした描写作品ばかりだった。

ちなみに作品に描かれていた飛行機のうち、90%はJALかANAのもので、JALの方が若干多めであった。日本だから当然かもしれないが、それだけ子供達の印象に残っているのだろう。1,2年生の部では飛行機に乗って外国へ行ってみたい、という気持が絵になっているが、そこに描かれた機体はJALの飛行機だった。

その後はバイプレーンを覗いてみる。ここにくるといろいろと物欲がうずいてしまう。何気なく雑誌エリアを見ていたら、「世界のエアライン」誌が新しい版になっている。前号の10号が「ハワイの空」、そして今回の11号が「ロンドンの空港」特集を組んでいる。この雑誌は月刊ではなく、2〜3ヵ月置きの発行だが、毎日忙しくしているうちに2号も版が更新されていたのだった。ハワイの話はそれほど興味はなかったが、ロンドンの空港は興味深いものがある。今回の特集はロンドンにある5空港(LHR、LGW、STN、LCY、LTN)が紹介され、そこに乗り入れる旅客機の写真が掲載されている。空港ターミナルビル内の様子も写真に収められており、雰囲気も何となくつかめそう。

こんなことをしているうちに、もうすぐ便の出発2時間前になってしまう。同じ階にあるローソンで食糧を買い込むことにしよう。駅から来る途中にあったコンビニは... もう時間がないし、わざわざ戻るのも面倒だ。それに、戻るだけ価値のあるものがあるという訳ではないし。何を買うか、といっても特に食べたいものがある訳でもないので随分と迷ったが、適当に飲料水、アンパン、サッポロポテトを購入した。

出発2時間前になった。どのチェックインカウンタも航空旅客がたむろしている。だが、人数が多く目立っていたのはNW、UAのカウンタだったような気がする。この2社は便数も多く、利用者も多い。NWやUAはNRTをハブにしているという話を聞いたことがあるが、やはりアメリカは強い。CXのチェックインカウンタは前に来たことがあるものの、この人混みにうずもれてしまって最初はわからなかった。ちなみに、私の渡航先のフラッグキャリア、SQのカウンタにも人だかりができていた。ほぼ、SQ11/12の出発時刻の2.5時間前。この2便が似たような時間に出発するから、人が多いのもわかるような気がする。シンガポール、もしくはロス(だろうか)ツアーの客も結構多かった。

ようやくカウンタにたどり着いたが、出発2時間前だというのに乗客は誰もいない。ツアーなどでは2時間前には空港に集まってチェックインを行っていると思うが。チェックインカウンタ入口にいた係員に航空券を見せ、「CX505のチェックインをしたいんですけど」と言い、中に入れてもらう。荷物を預けるつもりはないので、そのまま中に入れてもらえた。

チェックインは特に何事もなく行われた。当初懸念されていた機内持ち込み手荷物の 5kg制限も特に問われることはなかった。今回はHKGで夜を過ごすためにさっきローソンで購入した食糧と水をメインバックのリュックの中に入れていたこともあって、なおさら荷物を預ける訳にはいかなかった。前回と違ってリュックの中の衣類はTシャツと上着ぐらい。また、今回は本も持っていかなかったので荷物は前より少ないはずだが、それでもCXの言う5kgは絶対にオーバーしていると思う。しかし、機内に持ち込もうとしている手荷物のことについてとやかく言われることはなかったし、重量を測ることもなかった。

チェックインが終って搭乗券を貰う時点で、係員の口からびっくりすることが出された。何と、ビジネスクラスへアップグレードだというのである。その場では「ありがとうございました」と言ってその場を去ったが、しばらくは興奮していた。信じられない。よくオーバーブッキングした客がアップグレードになった、という話を聞いたことがあるが、まさか自分がその対象になるとは夢にも思わなかった。係員はこのアップグレードについて何も言わなかったが、やはりYクラスがオーバーブッキングしていたのだろうか?MPOクラブ会員やアジアマイルでよくCXを利用している人達ならアップグレードということも考えられなくはないが、自分はどれにも縁のない人間である。もし、何が決め手になるかと言うならばSIN行きのZONE PEXをCXから直接買った、ということぐらいか。今回のように乗り継ぎがある場合、ZONE PEXだとむしろ直行便のある会社より高くなるものである。一般人からすれば、飛行機の乗り継ぎという手間と時間のかかることはあまりしたがらないものだ。乗り継ぎというデメリットの見返りに安い、というメリットがあるのは航空会社では買えない格安航空券だけの話である。

ZONE PEXということ以外は特にアップグレードの対象になる理由がどうしても見当たらない。しかも、自分のいでたちはリュックにアウトドア用ベスト、ジーンズ、防水のアウトドアシューズという、どう見てもCクラスにふさわしい格好ではない。Cクラスに乗るからにはそれなりの格好はしないといけないかな、と思っていたが。計画当初からずーっと頭の中に不安として残っていた空港から市内への移動をどうするか、という不安は何1つ解決していないままとうとうここまで来てしまった。もう引き返すことはできない。やってみるしかない。

なお、出てきた搭乗券は従来と同じCX独自のものだった。BSPではなく、CXオフィシャルのATB券だったにも関わらず。NRTはまだATB券の半券部分が活用できるだけの設備が整っていなかったのだろうか?

驚きを隠し切れないまま私は下の出国審査場へ向かった。

7/1から日本人はE/Dカードの記入は不要になったので、パスポートを差し出して自動読み取り欄を機械にかけ、出国スタンプを押してもらえば手続きは完了する。以前と比べれば随分スマートになったものだ。前はこのE/Dカードの書き方がわからない人達もいたと思うが、少なくともこれなら日本の分については悩む必要がなくなった。

出国審査が終ったらまずやらなくてはいけないことがあった。母の依頼品である口紅3点セットを探すことだった。3点セット自体はいくらでもあるが、ローズ系の色を主体にして欲しい、というリクエストがあったので、それを見つけるのが大変だ。どうもよくわからないので店員に聞いてみたところ、最近はローズ系は人気がなく、ベージュ系に人気があるそうだ。従って、どうしても希望通りにはいかない。よく探すと、まあ、妥協できるかな、という組合せが見つかったのでそれを購入。同じ3点セットといっても、メーカーを問わなければ色の組合せは結構あるものだ。

NRTでのノルマを達成した私はゲート付近を散策していた。正式なCクラスの乗客はラウンジが使えることになっているが、アップグレード客なので、そのような贅沢なものは使えない。Cクラスの乗客と言えども、やることはYクラスの時と同じである。特に深い意味はないが、駐機している飛行機やゲート付近で搭乗時間を待つ乗客の様子を眺めているのもなかなか楽しいものである。

何気なくゲート付近のTVを見ていたところ、丁度シンガポールの案内を放送していた。それにしても、タイミングが良すぎる。CX505のゲートの隣がSQ11のゲートだったことから、恐らくこのSQ11の乗客向けに放送しているのだろうか。もっと凄かったのが、そのSQ11の隣がSQ12のゲート。何か不思議な因縁みたいなものを感じてしまった。

搭乗予定時刻の18:00が近くなり、ゲート付近には乗客が集まって来る。Cクラスへのアップグレードがある、ということはさぞかし混雑しているのかと思いきや、混み方はいつもと変わりない。日本人もさることながら、中国系の乗客も多く見られた。予定されていた時刻より5-10分ばかり遅れての搭乗開始だった。

CクラスのキャビンはさすがにYクラスと全然世界が違う。Yクラスではキャビン自体が狭いためか、オーバーヘッドビンに荷物をあげる乗客、自席を探す乗客、時には子供の泣き声等でゴチャゴチャしているが、ここにはそのような喧騒と混沌は皆無だ。静かに、ゆっくりと搭乗は行われていく。大人の世界だ。
また、希望する乗客は上着を預ってくれる。搭乗券を見せると、クルーが機内のロッカーにしまっておいてくれる、という仕組みである。Yならば自分で管理するものだが。

Cクラスだから当然と言えばそうかもしれないが、リクライニングを元に戻した状態であっても、ベルトを締めた状態では前の座席のポケットに手が届かないくらい足元が広い。真中の席や窓側の席の人が恐縮しながら通路に出る、ということも皆無だ。今まで飛行機の座席というとあの狭いYクラスの座席しか利用できなかったものだから、この席の広さには感激ものである。

これなら、今までのように外の景色を楽しみたいのを我慢して通路側の席を選ぶ必要は全くない。外の景色を楽しむ、ということと簡単に外に出る、という相反する2つの要求を1度に実現できるから。特に長距離ならこの座席の快適さは身にしみて実感できるだろう。今回は本当に運良くこの席に座れたが、もうこのような座席に座れる機会はないだろう。

離陸前にCAが飲物のオーダーにやってきた。いわゆるウエルカムドリンクというやつである。

前から気になっていた客相は、というと、Cクラスだから正装、ということは全くない。カジュアルな服装の人達も結構いる。Cクラスは大人の雰囲気の場所、というイメージがあったものだから、きちっとした感じかと思っていたが。Cクラスにも格安航空券が現れ、FFPの特典その他でCクラスは以前に比べて垣根は低くなってきたこともあるのだろうか。自分がイメージしていたCクラスよりだいぶカジュアルになったものだと思う。ただ、ガサガサした感じの人はこのクラスにはいなかった。

離陸後は前にオーダーしたドリンクとおつまみが配られる。おつまみはアーモンドとおつまみセットからの選択。勿論、きれいに磨かれたグラスに注いでくれる。しかも、何と、おつまみは陶器の小皿に盛った状態で出て来る。ということは、HKG、そして現地滞在中のおやつが確保できない!自分は今、特におつまみを食べたかった訳ではないが、その場で食べてしまわないといけない。

テーブルも前の背もたれではなく、ひじかけのところに収納されている。テーブルについては出し方がわかったものの、PTVについてはどうやって出すのかわからない。非常口座席と同じようにこれもひじかけのところにある。最初、どこにあるのかと思ったが、前の席の人が出しているのを見て、ようやくイメージはつかめた。どうも出し方がよくわからないので、隣にいたおじさんに聞いてみることにした。このことから、HKGまでの間、このおじさんといろいろと会話することになった。

Cクラスでは食事も豪華になるというが、レストラン顔負けのフルコースだ。メニューを見ると洋食、和食のコースがあったが、有無を言わさず洋食。アップグレードだから文句は言えない。ここに座れたことだけで十分だ。自分は洋食が良かったし。私だけでなく、私の身の回りの乗客も皆洋食を食べていた。私の食べたメニューは以下の通り。勿論、その時の食べ具合に応じてCAが持って来てくれる。主菜など、いくつかのものついては乗客の選択ができるものもあるが、Yクラスと違って、全てカートの上で広げた状態で運ばれる。実物を見て選べるところがありがたい。名前と感覚だけで選んでしまい、「しまった!」ということもこれではないだろう。何度私はこれをやったことか。下手なレストランで食べるより、ずーっとおいしい。

前菜
野菜サラダ、フレンチドレッシング
アボガドと海老のグラタン、スモークサーモン
ガーリックトースト
主菜
牛フィレ肉のグリル 赤ワインデミグラスソース
バジルヌードル、煮野菜
ガーリックトースト
デザート
チーズ2種、果物
マンゴープリン
アイスクリーム
紅茶

CX505ビジネスクラス 夕食メニュー(洋食)

布製のナプキンもついており、食事の際はそれを敷くことになる。隣のおじさんはこのナプキンを見てがさつだ、と言っているが、ちょっと気の効いたレストランでもこのようなナプキンは使っており、そんなにがさつな印象はないと思う。さまざまな雑誌や本で取り上げられているCクラスの食事というものを、こうして実際に食べていること自体が何か信じられない感じだ。食事もゆっくり、時間をかけて行われる。どれも皆おいしかったが、特筆すべきものはガーリックトーストとマンゴープリンだろう。ガーリックトーストはフランスパンにバターとニンニクがのっているものだが、バターとニンニクの味が良くマッチしている。マンゴープリンはマンゴーのほんのりした甘さとプリンの何ともいえない味がたまらない。プリンの上にはクリームが載っている。まさに、絶品。ガーリックトーストもマンゴープリンも食べたのは今回が初めてだったが、こんなにおいしいものとは思っても見なかった。前回のQF10のタイライスのチキンクリーム和えと合わせ、この2者は日本でも是非食べたいメニューである。味というものを記録に残せないのが本当に残念だ。

また、アボガドと海老グラタンについては、何かすっぱい妙な味がして、私の好みではない。機内食全体としてはおいしかったが、これについてはいただけなかった。無理に喉に押し込んだ。

私は食事をしながらこのおじさんとの会話を楽しんでいた。自分にとって食べながらしゃべるというのは難しいもので、いつもは早食いの自分も、ペースは自動的に落ちていく。しゃべりながら食べているとはいえ、おじさんの方が食べるのは速い。
私はしゃべりながら食べているので、どうしても遅い。私がのんびりと主菜のフィレステーキを切っている間におじさんはチーズを食べている。その間に自分はトイレに行ってしまったものだから、チーズを食べ損なってしまった。戻ってくると、おじさんを含め皆、マンゴープリンを食べている。

Cクラスのトイレは...Yクラスとさほど違いはないが、Yにはない花が一輪生けてあった。狭いのは変わりないが、よく掃除されたきれいなトイレだった。

話によれば、このおじさんは香港経由でシンセン、広東地区へ出張に行く途中だという。この出張、実は3-4日前に急に決まったので、乗りたいと思っていた1時頃のJL便が既に一杯で取れなかったという。このCX505なら空いていたそうだ。航空券は会社でいつも付き合っている旅行代理店から購入したそうだ。香港まで11万程。シーズンということもあるかもしれないが、高い航空券だ。それを考えたら、自分の購入した 92000円のZONE PEXは随分安い。(1時頃、と言っているが後で調べてみたところ、この時間帯にフライトはない。本当は17:25発のJL735のことか?)
このおじさんによれば、香港線ではJLが1番高いそうだ。そういえば、JLの格安航空券はあることはあるのかもしれないが、あまり目立たないと思う。まず、格安航空券がでて来るのは外資系の航空会社のような気がする。おじさんは従業員の人件費の高さがあるのではないか、と言っていたが。いくらSQがサービス部門の賞を総なめしても、大多数の日本人にとってやはりJALは1つのブランドなのだろう。各所で見られるエアラインのランキングで「信頼感がある」というとJALの名前は必ずでて来る。自分はJLは好きでも嫌いでもないし、日本語で話ができるので便利というぐらいの認識しかないが、どこから信頼感がある、という印象になるのかが不思議だ。

香港まではJL、NHとCX以外にもNWやUAがフライトを持っているが、これらの会社は候補に出なかったのか、と聞いてみたところ、何と旅行会社が勧めないのだそうだ。何故NWやUAは候補対象外なのだろうか?フライト時間帯が悪いからだろうか?NWやUAのフライトは旅行会社が代替案として出してきたCX505と時間的にはさほど変わらないような気がするが。不思議だ。
うちの会社で出張に行く時もそうだが、まずはJLを第1候補にするケースは非常に多いような気がする。やはり、自国のエアラインが無難なのだろう。なお、このおじさんはJLのFFPを何十万マイルと溜め混んだそうだ。この出張についても、休み前の出張だったので本当は行きたくなかった、という。内容にもよるが、海外出張に行きたくないなんて、実に贅沢な話だ。出張は3-4日で、CX500で帰国するのだという。帰国便は別として、自分と似たような日程である。

今日は香港到着後、ホテルに入って翌日に備えて休むそうだ。当初予定していたスケジュールと大幅に狂ってしまい、ホテルで休む時間が削減されてしまったものだから、イラついていたようである。PTVのエアショーで到着まで残り時間が1時間15分しかないのを見て、「早く着けよ」と愚痴をこぼしていた。自分は「えーっ、もうこんな時間?」と思っていたが。人によって随分感じ方が違うものだ。1時間15分なんて、東京-大阪ぐらいの飛行時間。私にとってはあっという間だ。しかも、このような快適な椅子で楽しいおしゃべりに興じていると短い飛行時間がなおさら短くなる。

おじさんも実はYクラスからのアップグレード組だという。おじさんも自分の身の周りでアップグレードになった話はいろいろ聞いているが、自分自身がなったのは今回が初めてとのこと。おじさんがチェックインの時にカウンタに聞いてみたところ、Cクラスは非常にすいていたそうだ。

自分もこれからシンガポールへ旅行に行く話、これから3時の便でシンガポールに向かう旨などを話した。そして、空港で夜を過ごすのにアンパンを買った話をしたところ、「こんなに一杯食事がでるんじゃ、アンパンなど買わなくても良かったのでは。」と言う。おじさんは機内では動かないで座っているだけだし、香港に着いたらもう寝るだけなので、フルコースを出されても飽食状態になってしまい、あまり意味がないという。だが、私はこれからの待機に備え、しっかり食べておきたい。むしゃむしゃこの「美食」を食べていた。

こんなに海外出張しているのであれば、家族を海外に連れて行くことはないのか、という点についても聞いてみた。もう子供も成人しているので、各自で勝手に旅行に行くそうだ。家族でどこか、ということはないらしい。家族で行くとなると、旅費もかなり重む。ちなみにお子さんは私より1-2歳くらい年下だそうだ。

また、このおじさん、私がメニューなどあまりにもいろいろなものを持ち帰りたがるものだから、「このフォークやナプキンもどうだ?」という。「ロゴも入ってるし」というが、でも、それはやってはいけない。航空ファンのモラルとして、あくまで、持ち帰りが許されているものしか持って帰ってはいけないのである。無断で持ち帰っても、良心にしこりが残るだけで、嫌な思いをするだけだ。自分はYでもメニューはまず持ち帰るが、Cクラスのメニューなど、まさに貴重品。鞄の中に入れていると、「俺のも要らないか」と、自分のをくれる。何枚も要るものではないが、一応戴いた。
折角のCクラスのメニューなのに、要らないんですか、と聞いたが、自分は特に関心がないので要らないのだそうだ。アップグレードでCクラスに乗ったんだよ、そして、こんなものを食べたんだよ、というのは十分、旅のネタになるとは思うが。

おじさん、そしてクルー&他のPAXにとっては迷惑だったかもしれないが、非常に楽しく会話させていただくことができた。静かなCクラスのキャビンで私達の声は目立ったに違いない。

自席に戻ると、飛行機は徐々に高度を下げていた。窓からは香港の夜景が目に入ってくる。スクリーンにはHKGからの乗り継ぎ便のゲート案内、バゲージクレイムの場所が紹介される。CX便しか案内がないのは前と変わっていない。これはどうも謎だが...出ている便は251,255,261,289といった欧州便が目立つ。あとは1749というSA運航のコードシェア便。CXの代表的な夜行の長距離路線ばかりだ。搭乗予定の2073は...まだ早すぎてゲート番号がない!

こうして、偶然にも体験することのできた豪華な空の旅は終ったのである。飛行時間3時間45分。昨年の1月に同じルートを飛んだ時は4時間50分だったから、随分と差があるものだ。あまりにも短い旅だった。


航空旅行記目次
2001年 シンガポール(1/8)
2001年 シンガポール(3/8)